定型フォーマットに乗った思考では大外しをする

しかし近年で言うと

「2000年ITバブル崩壊後の資産価格上昇」
「2008年リーマン・ショック前のプチバブルとその崩壊」
「2012年の民主党から自民党への政権交代によるアベノミクスと、翌年の黒田バズーカによる株高、不動産高」
「2020年以降のコロナ禍とその後のゴールドや仮想通貨、絵画や高級車・高級ワインなども含む資産全面高」

など大きな潮目の変化は、ほとんどの専門家が予想すらできなかったはずです。

昨今のように、不可逆性を帯びた大変化、歴史的な大転換の時代にあっては、従来型の定型フォーマットに乗った思考・意見は全く役に立たないどころか、大外しをするといった弊害をもたらします。それで「想定外だ」といったワードが連発されるわけです。

本来、想定外というものはあってはならないことで、たとえ天災地変であっても、具体的な日付や場所は想定できないながらも、その可能性は日ごろから念頭に置いておくべきであるはずです。

加えて各業界・各分野の専門家の多くは「タコ壺化」しています。例えば株式市場について考える前提として、今や株や金融の知識だけでは到底太刀打ちできるものではありません。

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「感情が先で、理屈は後」のマスコミ

不動産市場について予測する時、不動産や建築・都市計画、経済・金融程度の範囲をカバーするだけでは、もう全く立ちゆかなくなっているのです。もちろんどの業界にも、数は少ないものの慧眼をお持ちの、本当の意味でのプロがいらっしゃることを、私は知っています。

いずれにしても、2020年以降のコロナ禍のように「想定外」の事態が次々と起きるであろう未来においては、いわゆるカッコ付きの専門家は、今後も予想を外し、間違い続けるでしょう。

すでに私たちは「1人1台スマホ持ち」の情報化社会・情報過多社会にいますが、そうした情報はそもそも、どのように創られ、配信されているのでしょうか。

まず前提として、テレビは視聴率、雑誌は販売部数、ネット記事ならページビューが求められます。とりわけインターネット、スマホの登場でテレビ・ラジオ・新聞などのいわゆるオールドメディアは旗色が悪くなっていますが、ネットの世界においてもその情報量は指数関数的に増大し続けています。

そうした中、多くの人に興味を持ってもらうためには、どうしても刺激的なタイトルや中身を追求することになります。具体的には「不安や恐怖をあおる」のがありがちな手法です。人は理屈ではなく感情で動き、後からその行動を理屈で説明する生き物だからです。

「感情が先、理屈が後」です。心理学的に、人の感情を揺さぶるのが手っ取り早いのです。