「港区のタワマン」は高くなりすぎた
都内で資産価値が落ちないマンションといえば、港区や千代田区、中央区のタワマンというのが近年の常識でした。ただ最近はそれが崩れてきているようです。
都内のマンション価格は相変わらず高止まりしており、不動産経済研究所が発表した2024年6月の東京23区新築マンションの平均価格は1億1679億円と、1億円を超える水準が続いています。
歴史的な円安を背景に、低金利・外国人富裕層によるインバウンド需要が、都心部新築マンションの価格を牽引しています。
また「麻布台ヒルズ」など都心部の新たなランドマークとなるような大型開発が相次いだことも、新築マンション価格を押し上げています。
日本人パワーカップルが買えなくなってきている
ただ、今後この流れが変わりそうな気配も出てきていいます。
都心3区のマンション価格は高くなりすぎてしまい、一般の人にとってはもはや「贅沢品」。ファミリー向けの70m2超のマンションには引き続き問い合わせが多い状況ですが、DINKS向けの40~60m2くらいの物件については、販売から契約までの期間が長くなる傾向が見られてきています。
先述の不動産経済研究所が5月に実施した調査によると、初月契約率は56.0%と前月比で6.4ポイント低下しています。その後の6月の調査では66.4%と、10.4%改善しましたが、依然70%割れが続いていて販売の減速傾向が見てとれます。マンション発売戸数も12.8%の減少と、やはり弱含みの展開です。
期間が長くなるイコール、ニーズの低下が懸念される状況ということ。これまでタワマンのメイン購入層だった日本人パワーカップルが、都心3区の新築マンションの価格高騰により買えなくなってきている状況だと推察されます。
実際、私が勤務するらくだ不動産でも、「都心3区は高いから、少し外れた場所でマンションを探したい」という相談をいただくことが増えています。
新築マンション価格が高騰している都心3区ではなく、少し外したエリアの物件を探す人が増えているのです。