都市部では高市氏に「ダブルスコア」で惨敗

毎日新聞は、1回目の投票直後に「小泉氏まさかの失速 『次世代のリーダー候補』決選投票残れず」と題した記事をアップしている。時間経過から見て、結果が出る前に用意しておいた予定稿と呼ばれるものだろう。ただ、あらかじめ書いていたとみられるだけに、世間の代表的な見方をあらわしていよう。

失速の理由として記事で挙げられているのが、「実績不足」からくる討論会での頼りなさである。野党第1党の立憲民主党が新しい代表に野田佳彦元首相を選んだことも、党内の不安に拍車をかけたのかもしれない。また、有権者である自民党員・党友は中高年男性が多いのに、YouTubeでの発信にこだわったのは、ターゲットを間違えたとも考えられる。

こうした、毎日新聞の指摘は、たしかに頷ける。

実際、総裁選の得票数ではなく、実際の、党員・党友票の数でいえば、小泉氏は、高市・石破両氏の半分ほどしか取れていないからである。都道府県レベルで見れば、1位になったのは地元・神奈川県だけにとどまる。人口構成から見れば、比較的若年層が多い都市部の東京都や千葉県、埼玉県では、高市氏にほぼダブルスコアで負けている。

「小泉進次郎ファクト」が示した急所

地方どころか、都市部であっても、自民党を支える人たちから、進次郎氏は、そっぽを向かれたのである。これでは、「小泉旋風」など吹くわけがない。2001年に父・純一郎氏を総裁に押し上げた流れは、進次郎氏には来なかったのである。

とはいえ、当初は立候補を目指していた斎藤健・経済産業大臣や、岸田首相の側近の木原誠二・自民党幹事長代理といった、錚々たる面々までもが支えた(肩書きは総裁選当時)。1回目の投票で得た議員票は75票と、高市(72票)・石破(46票)を上回り、選挙の顔としての希望の灯は最後まで消えなかった。

当初は高い支持を得ていたはずの自民党員・党友から、なぜ、そこまで見放されてしまったのだろうか。

その理由の一端が見えるのが、「小泉進次郎ファクト」と題したウェブサイトである。サイトによると、「小泉進次郎候補の発言や政策についての切り取り・風説について、ファクト(事実)に基づいたQ&Aをお伝えする」という。

ウェブサイト「小泉進次郎ファクト」より

進次郎氏陣営の小林史明衆議院議員が、Xに「応援してくれる方たちが事実情報のまとめサイトを立ち上げてくださったようなので」とポストしているため、陣営が作ったサイトではないようだが、それだけに、進次郎氏の支持者にとっての「急所」をあらわしている。

たとえば、同サイトの冒頭にある「年金受給開始80歳」はどうか。