上司への「連絡」「相談」はどうすべきか

「何はなくとも、まず報告!」では、「なるほど。で、どうするの?」と言われるだけです。私も若手社員だったころ、トラブルを上司に報告して、「で、どうするの?」と返されたことがあります。

苦々しい思いで退散しましたが、いざ自分が上司になってみると、かつての上司と同じようなことを部下に言っている自分に気づきました。

20代ならばまだ、現状報告に対して上司がヒントや指示を与えてくれるでしょう。しかし30代にもなって現状報告だけでは、何の解決の糸口もつかめません。

ただ「火事だ! 火事だ!」と騒ぐばかりで、「でも、火を消す方法はわかりません」では、戦力として意味がないのです。

「連絡」「相談」も同様です。「A社の○○さんからお電話があり、××××とのことでした」という単純な連絡では、「わかった。で?」と言われてしまいます。

そこで話を前に進めるには、「A社の○○さんからお電話があり、××××とのことでした。つきましては、私は△△△△しましょうか」という自分なりの申し出を含め、上司の「指示」を仰ぐように連絡する必要があります。

また、「A社とB社の件、日程的に厳しそうなのですが、どうしましょう」という丸投げの相談では、「どうしましょうって……。で?」と言われてしまいます。

そこで話を前に進めるには、やはり「A社とB社の件、日程的に厳しそうです。A社は延期できそうな感触だったのですが、いかが思われますか」という自分なりの打開策を交えて、上司の「意見」を仰ぐように相談する必要があるわけです。

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“将来有望な30代”になるためには

もう1つ重要なことを加えると、忙しい上司に無用なストレスを与えないよう、「タイミングを見計らう」「簡潔に伝える」というのも重要です。

タイミングは、「緊急度の高さ」と「インパクトの強さ」の四象限で考えます。

緊急度が高く、かつインパクトが強いときは、ホウ・レン・ソウは早ければ早いほどいい。両方ともそれほど高くないのなら、上司の機嫌が悪くないタイミングや、上司の頭の回転が落ちていないタイミングを見計らいます。

そして「簡潔に伝える」には、「誰々がこうして、ああして、誰々がこう言って、ああ言って」という枝葉末節は削ぎ落として、要点だけを伝えられるようにすること。

最初のうちは、何が枝葉末節なのか、何が要点なのか、見極めにくいかもしれません。

1枚の紙にホウ・レン・ソウの内容とあなたの思考を書き出して、伝えるべきことを整理するのもいいでしょう。回数を重ねれば、徐々に書き出さなくても要点だけを簡潔に伝えられるようになっていきます。

このように、ホウ・レン・ソウは、ただ習慣化すればいいというものではなく、短い時間の中でもあなたの思考をいったん噛ませてから上司の元に行くのが、将来有望な30代の行動体系なのです。