9月兵庫県議会は「異例ずくめ」となる

すべての県議会議員が斎藤知事に辞職を迫る中で、斎藤知事は物価高対策などを盛り込んだ約100億円の補正予算を9月県議会でしっかりと成立させることが役割であるとして、辞職要求を退けた。

「県民のために」を最優先する斎藤知事の姿勢は間違っていない。

県議会各派は、議会初日の19日に斎藤知事の不信任決議案を提出して、その日のうちに可決してしまおうとしている。

補正予算など県民生活に直結する重要案件はすべてその日中に処理する方向で調整している。

斎藤知事の提案説明が行われたあと、各常任委員会に付託して、採決まで行う。

その後、再び県議会本会議に持ち返って、補正予算、災害対応など重要案件を可決する段取りだというのだ。

普段の県議会であれば少なくとも1週間程度は掛かる日程を、たった1日ですべて行うことになる。あまりにもイレギュラーな緊急対応と言える。

どんなにスピードアップを図っても県議会の審議は深夜に及ぶことになる可能性が高い。

そのあと、斎藤知事に対する不信任決議案を提出して、採決して可決させるのである。

「県議会解散」なら百条委も解散してしまう

不信任決議案が可決されれば、知事は10日以内に議会を解散させるか、辞職しなければならない。

斎藤知事がこれまですべての県会議員による辞職要求を撥ねつけてきたことを踏まえると、不信任決議を突きつけられたからといって、自ら辞職するという選択肢はないだろう。ふつうに考えれば、斎藤知事は議会解散に踏み切る可能性のほうが高い。

県議会議員選挙には16億円程度の費用が掛かるとメディアは牽制するが、すべて兵庫県内で費消される予算である。県民が注目する大イベントでもあり、その費用対効果は大きい。

いちばん重要なのは、県議会解散となれば、斎藤知事のパワハラ疑惑などを調査してきた県議会特別委員会の百条委員会が自動的に解散してしまうことだ。

「兵庫県議会インターネット配信」YouTubeチャンネルより

9月6日の百条委員会で答弁する斎藤知事

10月24、25日に予定されている百条委員会は開かれなくなる。

斎藤知事が県議会を解散させると、40日以内に県議選が行われる。

選挙戦を経て、新たな県議86人による県議会臨時会が開かれ、そこで、知事不信任の決議を行い、今度は過半数の賛成で斎藤知事の失職が決まる。

斎藤知事が辞めたあと、県議会があらためて百条委員会を設置するかはわからない。

百条委員会を設置するかどうかは、新たな県議会議員が決めることとなるからだ。