斎藤知事が辞めれば「知事選一色」になってしまう

百条委員会ではパワハラ、おねだり疑惑の事実を詳らかにし、斎藤知事の道義的責任を追及して、辞職を迫っていた。

肝心の斎藤知事が辞めてしまえば、パワハラ、おねだり疑惑への批判はおさまり、百条委員会は役割を失うことになる。

知事辞職とともに、県政の立て直しを最大の焦点とした知事選の日程が決まる。

次の知事が誰になるのかに県民の関心は集中するだろう。当然、県議全員もそちらに奔走する。マスコミ報道も県知事選一色になるだろう。

ところが、「兵庫県の闇」の部分ともいえる、犯罪行為を疑わせる告発について百条委員会はまだ調査していない。

亡くなった元西播磨県民局長の告発文書の5番目の「知事の政治資金パーティー券購入」と6番目の「阪神・オリックスの優勝パレードの費用に関わる公金横領、公費の違法支出」は、まさしく法律違反の疑惑である。

県議会は2つの疑惑について、斎藤知事を含むすべての証人を呼んで事実関係をしっかりと調べるべきである。

「兵庫県政の闇」から目を背けているのは誰か

告発文書には、2023年7月30日の斎藤知事の政治資金パーティーで、県内の商工会議所、商工会に補助金削減をほのめかせて、パーティー券を大量に購入させたとある。

また兵庫県信用保証協会の保証業務を利用して、パーティー券購入を依頼させたともある。

他にも、昨年11月23日の阪神・オリックスの優勝パレードの費用が集まらなかったことから、信用金庫への補助金を増額させてキックバックした疑いがある。

寄付集めに奔走した産業労働部課長はうつ病を発症した。公金横領、公費の違法支出の陣頭指揮には片山安孝前副知事が当たったとしている。

その後斎藤知事は、課長が4月に亡くなっていたことを発表している。

 9月県議会の日程を見れば、9月25日から27日、休会をはさんで30日に代表質問、一般質問のために4日間を充てている。 

県議会各派は斎藤知事を1日も早く辞めさせることだけを優先して、9月県議会の代表質問、一般質問を省略してしまうつもりのようだ。

これでは、「兵庫県政の闇」の部分に目を向けることを避けているようにさえ見える。

県議会は本会議の代表質問、一般質問を行い、告発文書にある「政治資金パーティー券購入」と「公金横領、公費の違法支出」について、知事をはじめとする関係者から“真実”を引き出すよう取り組むべきなのだ。