毎日8時間は働いているはずが家に入れるお金は月に5000円

「8時間以上も働いているなら、アルバイトではなく、社員になっているのではないでしょうか?」と尋ねたところ、母親(83歳)は「そのあたりはまったくわかりません」とのこと。

「ご長男はどのくらい、家にお金を入れてくれていますか?」と聞いたら、ひと月5000円とのこと。「えっ、5000円だけですか? それでは、ご長男の月収はどのくらいかわかりますか?」と母親に尋ねても、「息子が教えてくれないので、わかりません」。

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そんな研一さん宛てに少し前、国民健康保険料の滞納通知書が届いた。働いている時間が長くなったので、母親は厚生年金と健康保険に入れたのではないかと考えていたため、滞納通知書が届いたことには驚いた。

研一さんに「国民健康保険料をなぜ滞納しているの?」と尋ねたところ、研一さんは母親の問いかけには答えず、無言のまま自室へと入っていった。以来、研一さんとの関係性は悪化。それまでは一緒に食事をとることもあったが、最近では、研一さんが母親と顔を合わせないように、避けているようだという。

国民年金保険料についても、滞納をしているか、免除の申請をしているのかを母親にたずねたところ、「それもわからない」そうである。

無料相談の場合、相談が前に進みにくい傾向がある

実は小川家の相談は、無料の相談センターを通じて受けている。そのため、何回、相談を受けても、小川家から相談料を受け取ることはない。無料が影響しているからか、母親にはアドバイスを活かして、長男の生活設計を立てようという強い気持ちが見受けられない。相談の中で、嫌な話が出てくると、母親は世間話に逃げることも多く、話が進まないことに苦慮している。

2年以上、回数にして7回は相談を受けているにもかかわらず、初めての相談のときと変わらないところで足踏みをしたままである。「ご長男は社員として働かれているのか、アルバイトなのか。本当は何時間くらい働いているのかなどを知りたいので、ご長男の社会保険加入状況について確認してほしいんですが」と何度も頼んでいるが、いまだに判明していない。

そのため、「あまり勧めたくはないのですが、ご長男のお財布に入っている健康保険証を携帯で写メしていただけないでしょうか。2年以上経っても、ご長男が社会保険に入っているかすら判明せず、相談がまったく進んでいませんよね。健康保険証を見て、ご長男が社会保険に加入しているのか、現在も国民健康保険なのかを確認したいんです」と伝えた。

健康保険証を写メしてほしいと頼んでから、数カ月後。次の相談がおこなわれた。「ご長男の健康保険証を写真に撮っていただけましたか?」と尋ねたところ、「なかなかお財布を放置している時間がなくて……」ということで、写メ作戦も不発に終わっている。