「あとは任せた」で丸投げ…部下が疲弊する上司の口癖

では次に、この「報酬」と「怒り」をキーワードに、人のフォローが嫌になる職場の典型例を見ていきましょう。

どんな職場だと、人のフォローがしんどくなるのでしょうか。そこには、どういった心の動きがあるのでしょうか。フォローする立場にある人が疲弊する典型的なパターンを見ることで、今の自分にもあてはまる部分がないかを振り返ってみてください。自分を客観視することにつながります。

例:上司は、いつも私を呼びだして思いつきを話す。いいアイデアではあるけど「あとは任せた」と丸投げ。結局、私がこまごまとした調整をやるしかない。自分の仕事もあるのに、上司のためのお膳立てばかりしているような気がする。

いわゆる「お膳立て仕事」が多いと嫌になってしまうことがあります。

本来の自分の業務ではない(と感じる)フォローに「こんなことばかりやらされて手柄はいつも上司や先輩ばかり……」と思うような状況です。

仕事には、その職場のメインの業務である「主体業務」と、そのまわりにあるこまごまとした「付帯業務」があります。

この付帯業務は、1つひとつは本当にちょっとしたことなのですが、仕事をスムーズに進めるためには欠かせない業務です。付帯業務をする人がいるからこそ主体業務が成り立って、職場全体の仕事がまわっていくわけです。

付帯業務こそモチベーションを高めてあげる

しかし、大切な業務にもかかわらず、この付帯業務は「だれがやるのか」という役割が明確に決まっていないことが多く、「気がついた人がやる」とか「なんとなく特定の人の役割になっている」ということも少なくありません。

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また、よく気がつく人や文句を言わずに黙々と仕事をこなす人に業務が流れていくという謎の法則もあります。

職場によっては、「昔から新人がやる」「それは女性がやる」といった無意識のバイアスと圧力によって決まっていることもあります。正当な理由がないのに年齢や性別などの属性で「やるべき」「やるべきではない」と決められる職場は、お膳立て仕事のストレス以前に、旧態依然とした差別意識によるストレスがあるともいえます。

最後の仕上げだけやって、すべての仕事を自分だけでやっているかのような顔をしているだれかのうしろには、もしかしたら、そこに至るまでの準備に汗を流している人の働きがあるかもしれないのです。

主体業務をやっている人だけに光があたる職場は、それ以外の人のモチベーションを下げてしまう可能性があります。