“丸投げ感”を“成長の機会”に変えるために

とはいえ、お膳立て仕事を丸投げされることが、そのまま「悪い上司」とか「不当な職場」になるとはかぎりません。

部下がこまごまとした調整をやることで職場全体を見わたすことができて、成長するきっかけになることも少なくないのです。

ここでも重要なのは「報酬」です。

なかでも最も大切なのが「上司が自分のやっていることを認識してくれているかどうか」という心理的な報酬です。部下は「上司が自分の仕事を理解してくれている」と感じられると、「面倒なことを丸投げされている」から「成長に必要な経験ができている」に変わっていきます。

佐藤恵美『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』(PHP研究所)
佐藤恵美『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』(PHP研究所)

よくあるのが、上司もプレイヤーとして忙しく、上司・部下の役割が曖昧な職場において、部下がこまごまとしたお膳立て仕事をしてもねぎらいの言葉がなく、上司が仕事の意味や意義をきちんと伝えられていない状況です。

そうなってしまうと、部下の立場からすれば「だれがやっても同じ。つまらない仕事をやらされている」という感覚になってしまいます。

上司のフォローばかりで徒労感を覚えている人は、上司との関係性を見直す必要がありそうです。今の自分の仕事の意義を言葉にして上司に伝えてみたり、上司の考えを一度じっくり聞く時間を持てるよう上司にお願いしたりすると、仕事に対する印象が変わる可能性があります。

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