“報われ感”があると疲弊しづらい
職場には「もう勘弁してほしい……」と言いたくなるような疲弊するフォローもあれば、それほど負担に感じないフォローもあります。その違いは、どこにあるのでしょうか。
「自分のやったことに『報われ感』という報酬があるかどうか」です。
報酬には、もちろん金銭的なものもありますが、それだけではなく「自分のやったことには価値や効果がある。役に立っている」と感じられる心理的な報酬もあります。たとえば、次のようなことです。
・自分がやったことに対して同僚から感謝の言葉があってうれしい
・Aさんへの指導は、今後の自分の成長にとっていい経験になったと思える
・後輩が自分のやり方を受けついで成長してくれてうれしい
・自分が提案したことが職場全体に広がっていって満足
・自分がいることで職場をうまくまわせている感覚がある
こうした心理的な報酬があれば、自分のフォローは無駄ではなくなります。人をフォローすることにエネルギーは使いますが、その見返りとしてのエネルギーがチャージされるので、ただ疲弊して嫌になってしまうことは避けられるわけです。
怒りの感情があるとドッと疲れていく
一方で、エネルギーを急激に奪う要素もあります。「怒り」の感情です。
怒りは、最も自分を消耗させる感情です。しかも、やっかいなことに私たちは自分が怒っていることを自覚しにくいという特徴があります。なぜなら、怒りは七変化するからです。
たとえば、「イライラ」も怒りの1つですし、ほかに「理不尽」「嫌悪」「失望」「後悔」「悲しみ」「攻撃」「落ちこみ」といったものも怒りの親戚の感情です。
こうした感情が自分の心を占めていると、「なんで、あの人はこんなことを私にやらせるの」「私がこんなに犠牲になってやっているのに、よく平気な顔をしていられるよな」といったネガティブな考えが、「怒り」の感情というエネルギーを使いながら無意識にぐるぐると頭をまわりつづけて、脳が疲れはてます。
(1)「報酬」というエネルギーチャージがない
(2)「怒り」の感情で消耗している
この2つが合わさると、とたんに自分のなかのエネルギーが底をつき、つらいと感じたり、心身に不調が出たりします。
これが「もう勘弁してほしい……」と言いたくなるような疲弊するフォローに直面している人の内面で起こっていることです。