「X停止は恥。民主主義への犯罪」
この度のX騒動に便乗して熱を上げているのが前ボルソナロ大統領のシンパだ。Xのサービスが停止されたのはブラジル独立記念日(9月7日)のちょうど1週間前。独立記念日当日に首都ブラジリアでは現職大統領が出席する恒例の厳かなパレードが行われ、渦中のモラエス判事も大統領に招待されて参加した。
一方、サンパウロでは同日、ボルソナロ氏とその支援者らによる集会が目抜き通りで行われ、デモ参加者らによってモラエス判事弾劾が声高に叫ばれた。
参加した市民に今回の騒動について尋ねてみた。デモ参加者ゆえに返答はXサービス停止に対する批判ばかりであった。
「(X停止は)ブラジル国家の恥です。民主主義に対する犯罪です。モラエスは追い出されなければならない。モラエス出ていけ! モラエスが権力の座に居続けたらブラジルはベネズエラのようになってしまう」(バス運転手、男性、52歳)
「いまではVPNを通じてXを使っています。(X停止は)抑圧だと思います。だって数名をサービスから締め出したいという理由で、ブラジル人ユーザー2000万人をブロックしたんですから。当面罰金を科されていないのでVPNを通じて使っています。アレシャンドレ・デ・モラエスは、利用者に1日あたり5万レアルの罰金を科すといっていますが、不正な行為です」(販売員、女性、44歳)
「リポスト」でX再開派を勢いづかせるマスク氏
「(X停止は)ひどい。そんなことする権利はありません。ブラジルは自由でなければなりません。私は今日、孫とひ孫の将来のためにここに来ました。イーロン・マスクは億万長者よ。私は間違っているかもしれないけど、彼は誰に対しても悪いことはしていません」(年金受給者、女性、85歳)
デモの参加者らは、敵対するルーラ大統領傘下の最高裁で起こったこのたびの騒動に対して「モラエス退場!」とシュプレヒコールを上げた。X停止措置は、ボルソナロ支持者らを奮い立たせる刺激となったのだ。
マスク氏はこのデモ集会に先駆け、「ブラジル独立記念日の9月7日、人々は司法の濫用に抗議し、言論の自由を求めて行進する」とのマスク氏シンパのツイートをリポストし、情報を拡散し、ボルソナロ支持派に油を注いだ。
ボルソナロ氏は選挙高等裁判所から被選挙権を8年間停止されているが、次期大統領選への意欲も見せており、このたびの騒動を自らの勢力への支持上昇に結びつけたい意向だ。