国会議員人気・暫定トップは小林鷹之氏

前回、2021年の総裁選挙では、1回目の投票で、今回も出馬している河野太郎デジタル相(61)が255票(議員票86票+党員・党友票169票)で2位につけたが、これは、候補者が4人だったため参考にならない。

票が分散する今回は、「合わせて150票以上、できれば180票くらいは欲しい」(小泉氏を支援する衆議院議員)というのが、決選投票進出を目指す陣営の本音だ。

その数字なら、石破氏も小泉氏もクリアできるラインだが、旧安倍派をはじめ保守系議員の支持を受ける高市氏と、旧安倍派を中心に幅広く支持を得ている小林氏も、頑張れば手が届く数字である。

筆者は、告示前の9月3日、自民党所属の衆参国会議員が誰を支持しているかという調査結果を入手したが、その時点でトップの支持を集めていたのが小林氏(33人)で、高市氏(15人)も、石破氏(18人)や小泉氏(17人)と遜色なかった。

その意味では、下馬評が高い石破氏と小泉氏の2強に、高市氏と小林氏を加えた「2+2」の戦いが、これから本格化するということだ。

候補者9人の公約は似たり寄ったり

さて、総裁選挙に名乗りを上げた9人の候補者たちは、これから、候補者討論会や愛知県を皮切りに行われる全国8カ所の地方遊説でしのぎを削ることになる。

ただ、現実問題として、候補者が多すぎて、政策論争はどうしても総花的になる。当然ながら全員が自民党議員なので、誰もが憲法改正の必要性には言及するし、「政治とカネ」の問題に関しても、その濃淡はともかく厳しい姿勢を見せるはずだ。

ジャーナリストの立場で言うべきことではないかもしれないが、経済政策を除けば、誰も言うことは似たようなものだ。その中で問われるのは、メッセージの伝え方だ。

政治改革にしろ、経済対策にしろ、外交や安保、社会政策にしろ、「自民党はもうダメだ」と思いかけていた国民に夢や希望を持たせる話し方ができるのは誰か、ということである。