自民党総裁選に過去最多となる9人が名乗りを上げた。異例の選挙はどう展開していくのか。政治ジャーナリストの清水克彦さんは「石破氏と小泉氏を軸に、高市氏と小林氏を含めた4人の中から決まる公算が大きい。出馬会見を見ると、『この人に任せてみたい』と聞く人の感情を動かす手法を使えていたのは小泉氏、高市氏の2人だけだ」という――。
記者会見で自民党総裁選への立候補を表明する小泉元環境相=2024年9月6日午前、東京都千代田区
写真提供=共同通信社
記者会見で自民党総裁選への立候補を表明する小泉元環境相=2024年9月6日午前、東京都千代田区

永田町は「石破氏or小泉氏」で動いている

自民党総裁選挙を9月27日に控えた東京・永田町で、早くもこんな政治日程が漏れ聞こえてくるようになった。

10月1日(火)臨時国会召集、首班指名選挙
10月4日(金)新首相、所信表明演説
10月7日(月)〜9日(水)衆参両院で代表質問
10月9日(水)衆議院解散
10月15日(火)衆議院選挙公示
10月27日(日)参議院岩手補選と同日投開票

国民に人気が高い石破茂元幹事長(67)や小泉進次郎元環境相(43)が揃って早期の解散・総選挙に言及しているため、筆者も、仮にどちらかが首相になれば、10月22日公示、11月3日投開票、もしくは、10月29日公示、11月10日投開票になる可能性が極めて高いと考えてきた。

しかし、流布され始めた総裁選挙後の政治日程は、それよりも早い。これには、「政府も自民党も、石破さんか小泉さんを想定して、すぐに選挙が打てるよう臨時国会の召集を早くしようとしているのだろう」(日本維新の会参議院議員)という見方が広がっている。

「2位以内」の最低ラインは「50-100」

確かに、大手メディアが弾き出す自民党員・党友を対象にした調査では、石破氏と小泉氏が常にトップ争いを演じている。このツートップを、少し離れて追うのが、高市早苗経済安保相(63)と小林鷹之前経済安保相(49)という構図だ。

筆者もこの構図に異論はないのだが、今回は9人もの候補者が乱立する選挙だ。1回目の投票(議員票367票+地方の党員・党友票367票)では誰も過半数を獲得できず、決選投票(議員票367票+都道府県票47票)にもつれ込む混戦は避けられそうにない。

そうなれば、「決選投票で最終的に勝てそうな候補者は誰か」という議員心理が働くため、結果は、党員・党友を対象にした人気調査とは異なる可能性も十分ある。

決選投票に進むことができるのは、1回目の投票で1位か2位になった候補者だけだ。1回目の投票で「2位以内」に入るには、メジャーリーグで大谷翔平選手が挑んでいる「50-50」でははるかに遠く、少なくとも「50-100」(議員票で50票+党員・党友票で100票)以上の得票が不可欠になる。