世界最強のインテルさえ戦略修正を迫られている

それでもCXLなどAI関連分野の競争力回復には不十分だったようだ。8月下旬、インテルが受託製造(ファウンドリー)事業の分社化を検討しているとの報道も出た。かつて世界最強の半導体メーカーだったインテルでさえ、AI関連分野の環境変化に対応するために迅速な戦略修正が必要になるということだろう。

AI開発企業の成長戦略も変化した。米オープンAIは半導体開発分野への進出を目指している。同社は米ブロードコムと提携し、自社のAIに適したチップを自前で設計しようとしているようだ。カナダのコーヒアやオープンAIを退社したイリヤ・サツキバー氏が興したセーフ・スーパーインテリジェンスなども、高性能で安全な人工知能に必要なチップ開発に取り組む可能性はある。

さらに、グーグルなどの大手プラットフォーマーも、高性能の半導体の内製化を目指しているという。彼らは、さまざまな形態で有力半導体メーカーなどと協力体制を組みながら、新型半導体などの開発に注力することが予想される。そうした動きが軌道に乗るようだと、エヌビディアをめぐる経営環境が大きく変化することも想定される。

今後、AI関連企業の優勝劣敗が決するか

今後、米国では徐々に減速傾向を辿る可能性が高い。そうなると、世界の景気先行き懸念が出て、リスク回避に動く投資家は増えるだろう。リストラなどが遅れて研究開発体制や設備投資積み増しの資金調達が難しくなり、AI関連企業の優勝劣敗が鮮明化する展開も想定される。

決算発表後のエヌビディア株やナスダック上場銘柄の値動きを見る限り、そうした展開を警戒する投資家は増えつつあるようだ。長い目で見て、AIが世界経済の成長を支えることは間違いないだろうが、当面は企業の成長戦略の違いが個社の競争優位性に決定的影響を与えるはずだ。有力企業が、どのような戦略で次世代のAIチップや汎用型AIを実用化するか、目が離せない展開が続くだろう。

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