「共有の山があるかどうか」を必ず確認

私は、共有の山林の登記が漏れているケースをそれこそ山ほど見てきました。だから山林の近くに住む方からの相談では、「共有の山をお持ちではないですか?」と必ず確認します。

すると、「そういえば、お父さん、何か山があるとか言っていたかも」「子どものときに山に連れていかれて『この山は俺のもんだ』と自慢していたわ」といった話が出てくるものです。

そこから「共有者名簿はないですか?」「何かヒントになる資料はないですか?」と深掘りすると、何かしら出てくることが意外にあるのです。

明治時代のあいまいな公図に基づいていることがほとんど

また、山林は、都会の住宅地のように境界が明確ではなく、明治時代に描かれたあいまいな公図に基づいていることがほとんどです。

共有者名簿が残っていても、いったい山のどの部分が自分の所有地なのか、わからなくなっていることもあります。

澤井修司『あるある! 田舎相続』(発売:講談社、発行:日刊現代)

古くから山に入り慣れている森林組合のベテランは、木の植え方を見れば誰の土地かわかることもあるそうですが、一般の人にはとてもわからないでしょう。

山林を共有しているからといって、相続のときは他の共有者の同意などは不要です。自分の持ち分の相続登記をするだけでかまいません。

かつてはゴルフ場開発で山林が買い取られるケースもありましたが、今はそうしたチャンスはほとんどないようです。オートキャンプ場などに活用するケースもありますが、立地によりけりですから、やはりお荷物になりやすい資産といえます。

相続登記が義務化されたこのタイミングで、共有の山林があるかどうか、今一度チェックしてみることをおすすめします。

関連記事
年間8万7000人ペースで孤独死が進んでいる…政府が知らない「中年独身男性が孤立を深める本当の要因」
1都3県で「衝撃の格差」が生まれている…これから「資産価値が上がる街」と「下がる街」大解剖
相続税300億円を「4分の1以下」に抑えた…元国税調査官が舌を巻いた田中角栄の「大胆な節税」のカラクリ
新宿、渋谷にはない「衣食住」が揃っている…不動産のプロが「今が買い」と太鼓判を押す「サブカル街」の名前
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"