“攻めた”キャスティングとエログロ
キャスティングとエログロも凄い。
ピエール瀧はじめ、豊川悦司、綾野剛、リリー・フランキーなど闇の世界が似合う俳優は、地面師詐欺の世界観にぴったりだ。疑惑やマイナスの風評のあるタレントを避けがちな地上波ドラマとの差別化もお見事と言わざるを得ない。
そして次々と出てくるエロとグロ。
詐欺のメイン舞台となる高輪の一等地に建つ光庵寺住職(尼僧)が、実は歌舞伎町のホストに入れ込み、高級ホテルで若いホストたちと集団プレイにハマっている。
騙される側の「石洋ハウス」青柳(山本耕史)は社長秘書が愛人。
会議中に自らの股間を触るカットといい、東京を見下ろすホテルで愛人を窓に押し付け後ろからセックスするシーンといい、彼の上昇志向・支配欲・壊れた感性も強烈だ。
そして壮絶なのはリーダー・ハリソン(豊川悦司)の殺し方。
彼を長年追う警視庁捜査二課の辰さん(リリー・フランキー)を飛び降り自殺に見せかけて殺す際は、「3、2、1、Goでいきましょうか」と言っておいて、「3」で背中を押してしまう。想定外の出来事に、恐怖と驚きで慄く表情を楽しむためだ。
土地や物件を調べる情報屋(北村一輝)の殺害は凄惨の極み。
頭を何度も何度も思いっきり踏みつけ、ついに「グジュッ」という音とともに、頭部は潰れてしまう。しかもその犯行現場を爆破して、証拠を一切残さない。沈着冷静かつ猟奇的。そこに「エクスタシー」を感ずるという異常さだ。
やはりSNSのつぶやきも、こうした点を見逃さない。
「(アニメ好きだが)久々に生身の人間の演技観て震えたわ」
「尼さんのエロ演技良き」
「クソおもろい。しかし、殺し方えぐい」
「豊川悦司演じる知的な狂気が見ていてゾッとする 」