同社は目下、足元スペースに余裕のある座席の導入を進めている。通常の32インチ間隔よりも広い「エクストラ・レッグルーム」席だ。7月25日のリリースを通じ、現在ごく一部に設定されているこのシートを全座席の約3分の1にまで拡大し、より快適な空の旅の提供を目指すと発表した。「顧客体験の変革」の一環だという。

「自由と平等を愛したアメリカ文化が腐敗しつつある」

現在、指定席制に移行することのみが発表されている。具体的な展開方法は、9月の投資家向け説明会で発表予定だ。エクストラ・レッグルーム席は別料金になるとの観測がある。仮にそうなれば、サウスウエストがかつて誇らしげに示した「平等主義」の衰退を意味する。

これは単に一社の方針変更というだけでなく、アメリカ全体に蔓延しつつある「追加料金制度」の象徴だとする受け止め方もあるようだ。例えばディズニーランドの優先列の有償販売や、混雑日のチケット高額化など、低所得層を切り捨てる戦略がこのところ目立って報じられている。

ワシントン・ポスト紙編集者のマーク・フィッシャー氏は、オープンシート方式の廃止について、かつて自由と平等を愛したアメリカ文化が腐敗しつつある「強い象徴」である、との私見を述べる。

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指定席のテスト導入は不評だった

オープンシート方式の廃止は、かつてのサウスウエストを愛した利用者たちから、大きな反発を受けている。

シンプル・フライングによると、サウスウエストはかつて、指定席制をテスト導入したことがあった。2006年、同社はサンディエゴ発の200便と、サンアントニオ発の200便で部分的に導入した。

サウスウエストのゲイリー・ケリーCEO(当時。現会長)は、結果を受け、「顧客はオープンシートの座席を好むという明確な結論が得られた」と発表していた。80%が指定席を好むという今回の同社発表は、これと矛盾する。

同社を愛した長年の顧客たちは、「ひどい決断」だと落胆している。ソーシャルメディアの「X」では、オープンシート方式廃止の報を受け、「本当にひどい判断だ。オープンシートだったからこそ、サウスウエストは私の人生の中で一番好きな航空会社であり続けたのに」との声が聞かれる。

別のユーザーはリプライで、「長年Aリストを利用してきた顧客として、同じ意見だ。指定席が良いなら、その時は他の航空会社を使えばいいだけだった」と、唯一無二だった制度の消滅を惜しんだ。