利用客に愛され続けた3つの理由

オープンシート方式は、顧客にさまざまなメリットをもたらしてきた。米CNNなどが指摘している。

第1に、乗客は自分の好みに応じて座席を選ぶ自由がある。座席に余裕があれば、より空いている後方のエリアを選んで座るのも自由であり、窓側など好みに応じた快適な座席を見つけて座るのもまた自由だ。

第2に、機内の状況を見てから席を決められる柔軟性も魅力だ。機内には咳をしている人もいれば、元気に動き回る子供もいる。自分と相性が悪いかもしれない客の近くに、あえて座る必要はない。多くの航空会社が採用している事前の座席指定制では、ほかの乗客までを加味した座席選びは難しい。

第3の点として、良席だからといって追加料金を支払う必要がない。多くの格安航空では、素早く降機できる機体前方や、足下の広い非常口席など、有利な席に座りたい場合は、数千円程度のオプション料金を支払う。サウスウエストのオープンシート方式では、そのような料金を一切請求していない。

写真=Notimex via AFP
機内のイメージ。アメリカン航空やサウスウエスト航空などの米国の航空会社は、乗客が男性か女性かを区別しないように発券プロセスを変更すると発表。

格安航空会社なのに「預け荷物2個まで無料」

そればかりか同社は、チェックインバゲージ(貨物室に託ける荷物)さえ無料で受け付けている。1点あたり約22.6キログラム以下を、2点まで無料で載せている。

アメリカの国内線・エコノミークラスの場合、たとえフルサービス・キャリア(格安航空ではない既存航空会社)であっても、1個目から追加料金を徴収するのが一般的だ。米フォーブス誌は、1点目の預け荷物に15~40ドル(約2200~5900円)、2点目はさらに割高な40~60ドル(約5900~8800円)を請求するのが一般的だとしている。

米編集者のメレディス・ケアリー氏は、旅行誌のコンデ・ナスト・トラベラーに、「このようなことは格安航空会社だけでなく、アメリカ国内線を運行するほぼすべての航空会社において行われていません」と言う。予約時、諸々のオプション料金を考えなくて良いことが魅力だ。

旅行に行くのなら普通は荷物を伴うし、機内の席も自分で好きな場所を選びたい。それらを切り売りして「はい別料金ですよ」というようなことは、しない。これが長年、サウスウエストの矜持だった。

「追加料金」を徴収すれば儲かるのに…

サウスウエスト航空としては、座席指定のオプション料金を取り逃しているようにさえ思える。

本来、チケットの安い格安航空にとって、オプション料金は貴重な追加収入源だ。有料手荷物や座席指定、機内食などがこれに当たる。英テレグラフ紙は昨年、イギリスの乗客が「涙が出そうなほど」高いオプション料金に直面していると報じている。