体育会出身の若手が、いきなり泣き出したワケ
よくない行動に対し1度目から注意すれば、三流からは抜け出せますが、次の課題は叱り方です。先ほどの、チームミーティングに事前の連絡もなく遅れてきた新入社員にこのように言ったらどうなるでしょう。
「遅い! 何時だと思ってるんだ」
今の新入社員は、このような叱られ方に慣れていません。いきなり、強めに言われたら、顔面蒼白。ショックで立ち直るのに相当の時間がかかるでしょう。実際に、管理職の方から「大学時代に体育会だった男性新入社員に、『体育会系だから少しキツく言っても大丈夫だろう』と思って、少し強めに注意したら、いきなり泣き出した」とボヤかれたことがあります。
また、追い込まれると「クレーム対応があったんです」のように、言い訳をしてくる新入社員もいます。以前だったら、授業や部活で言い訳をしたら先生や監督から「言い訳するな!」と一喝されることもありましたが、今はそういう時代ではありません。学生時代に苦し紛れの言い訳でその場を乗り切った、という成功体験を持つ新入社員は、追い込まれると言い訳作戦を展開します。それは、案外巧みで、上司の次のひと言は苦しくなりがちです。
二流は「なぜ遅れたの?」と質問する
ということで、いきなりキツく言って追い込むのは得策ではなさそうです。でも、穏やかに話せば万事解決かというと、そうもいきません。例えば、
「あれ、時計見なかった?」「開始時間知らなかったの?」「遅れてもいいと思ってるの?」「連絡する5秒のヒマもなかった?」
こんな質問を矢継ぎ早にしたら、パワハラやモラハラ上司と見られかねません。また、次のような「なぜなぜ攻撃」も、パワハラ・モラハラ系と見られる可能性があります。
【上司】なぜ遅れたの?
【新人】クレーム対応で?
【上司】なぜクレームになったの?
【新人】ちょっと行き違いがあって
【上司】なぜ?
【新人】それは……
【上司】なぜ黙ってるの?
これは、新人でなくてもたまりませんね。製造業などでよく使われる「なぜなぜ分析」というのがあります。これは、真因を探るのに「なぜ」を繰り返し、掘り下げるというものです。この「なぜなぜ分析」は、「こと」に向けてはとても有効なのですが、「人」に向けると、責めのニュアンスが強くなってしまいます。相手は「責められた」と被害者意識を感じて終わりです。では、一流の叱り方とはどのようなものなのでしょうか。