子供が過ちを犯したときには、どう応じればいいのか。中学受験専門塾・伸学会代表の菊池洋匡さんは「子供を叱るときは行動に焦点を当ててほしい。たとえば『カンニングは卑怯者がすることだ』という叱り方は、人格否定になるのでよくない」という――。
遺書には「卑怯者と思われるのが怖くなった」
中高一貫の私立男子校「清風高校」(大阪市天王寺区)の生徒(当時17歳)が、期末試験でのカンニング後に自殺をしたのは、教師の行き過ぎた指導が原因として、今年4月、両親が約1億円の賠償を大阪地裁に提訴しました。
報道などによると、生徒は2021年12月、期末試験でのカンニングを試験監督から指摘されました。その後、教師から「カンニングは卑怯者がすることだ」と叱責され、「全科目0点」「自宅謹慎8日」「写経80巻」「反省文作成」などの処分を受けました。そして2日後、自宅近くで命を絶ったのです。
遺族は、清風高校では日ごろから「カンニングは卑怯者のすることだ」と指導しており、今回もカンニングが見つかった後に、教師が生徒に「自分は卑怯者だ」と言わせたと主張しています。
生徒の遺書には「死ぬという恐怖よりも、このまま周りから卑怯者と思われながら生きていく方が怖くなってきました」と記されていたそうです。
このような指導が法的に違法なのか、自殺との間に因果関係があるのか、といった論点は、本稿では扱いません。そうではなく、教育の手段として、こうした指導のあり方を考察したいと思います。