チョコザップが急成長を遂げた2つの要因

チョコザップが順調に加入数を伸ばし店舗数増加による規模の拡大を図ることができたのは、「ライト・フィットネス型サブスクリプション(サブスク)」を確立したとの視座から、次の2つに集約することができます。

1つ目は、月額料金をフィットネス業界では実現しにくい低額の2980円(税込3278円)に設定して、スマートプライスによるローエンドモデルを確立したことです。

フィットネス事業は、規模の経済が生かせることから、会員がどのくらいの数に達すれば、損益分岐点を上回ることができるかを導き出すことができます。チョコザップでは、これまでの会員数と営業損益の推移から、会員数がおおむね75万人に達した時点で黒字化が達成されていることがわかります。1店舗当たりに換算した場合、500人以上の会員数が求められることになります。

ライザップは、当初、チョコザップを月額6000~7000円の24時間ジムとして展開する計画でした。しかし、それでは、ANYTIME FITNESS(エニタイム)が、月額7700円で24時間ジムを展開しているように、競合他社との差別化を図ることは難しくなります。

重視する点は「支払う金額に見合う価値」の提供

また、大手クラブが、月額料金をおおむね4000~1万5000円のレンジに設定して、トレーニングマシーンに加え、スタジオプログラム、プール、風呂、サウナ、シャワー、スカッシュなどの複合施設により、総合型のフィットネスサービスを展開していることから、顧客はチョコザップよりも付加価値の高い大手クラブを選択することになります。

そこで、ライザップが考えたのは、既存のコミット型プログラムと対極に位置する新たなプログラムの開発でした。

コミット型プログラムでは、ベーシックプランが全16回(2カ月)で32万7800円(税込)、プライムプランが2カ月で59万4000円というように、フィットネス業界ではあり得ないほどのハイエンドの料金に設定されています。

この対価として、会員は理想のボディメイクが可能となり、トレーニング集中・目的達成型により「結果が出せる」との視座から、会員の満足度は極めて高くなります。実際、これまでの調査結果では、サブスクを利用し続ける理由として、「支払う金額に見合う価値があるから」との回答が上位に挙げられています。

チョコザップは、このコミット型プログラムとは対極に位置するローエンドの料金を設定することで、支払う金額に見合う価値を実現したのです。