高額なオペレーションコストをほぼゼロに
サブスクにおいて、恒常的に高い顧客満足度を獲得するためには、このように継続的にさまざまなサービスメニューを増やす、つまり、いわゆる利便性を極めた「サービス化」を図る必要がありますが、サービス化には多大な投資や運用に関わるコストがかかります。
この問題を解消するために、運用面では、セルフサービスに徹することで、無人化により固定費がかからないようにしています。すべてのサービスをセルフ化することでオペレーションコストをゼロに近い状態にしているのです。
他方、投資に関わるコストでは、すべてのサービスメニューを全店舗で利用可能にするのではなく、店舗ごとに利用できるメニューを変えて、可能な限り一定の地域内ですべてのメニューが受けられるようにすることで、1店舗当たりの投資コストを逓減させるよう努めています。
ライザップは、今後もチョコザップにおける新サービスの進化を積極的に続けていく意向です。その一環として、2024年7月に、SOMPOホールディングス(SOMPO)との資本業務提携について、今後の戦略を発表しています。
チョコザップはまだ“第1形態”に過ぎない
その戦略とは、両社が保有する1000万人規模のデータを連携させて、ヘルスケアのデータプラットフォームを作ることで、チョコザップを“健康の社会インフラ”として構築するというものです。
具体的には、SOMPOの保険契約者にチョコザップへの入会を勧め、運動で得られたデータと健康診断結果とを連携させて健康状態の改善を促すとともに、運動と疾病リスクとの関係性についての知見を蓄積していくことで、2024年後半には認知症の予防などの共同研究を開始する意向です。
ライザップは、チョコザップの展開構想をPhase0~2までの3つで捉えていますが、今回のSOMPOとの資本業務提携は、チョコザップがPhase2に掲げる「他社との積極的協業によるデータ蓄積」や「ウェルビーイングをサポートするサービスの進化を継続」に該当する動きであると捉えることができます。
チョコザップの狙いは、「健康を形成する全ての要素を提供し総合的な健康・自己実現に貢献」していくことにありますが、これを実現していくために、身体的、精神的、社会的健康の総合プラットフォームとしてどこまで完成度を高めてライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高いレベルで維持できるか、今後その真価が問われることになります。