3年前にも「プロ経営者」を解任しているリクシル
近年、社外から経営の専門家=プロ経営者を招き、事業戦略の立案とその執行や経営管理全体を任せる企業が増えている。海外で事業を強化している企業の場合、外国人が経営のトップに就くこともある。
ただ、プロ経営者が必ず成果を挙げるとは限らない。新しく迎え入れられた経営の専門家と、生え抜きの役員の間で、意見が対立することがあるからだ。特に、創業家出身の人物の影響力が大きい企業だと、プロ経営者は苦労しやすい。
10月31日、住宅設備大手のリクシルではプロ経営者の職を解く社長交代人事を発表した。2019年4月までに瀬戸欣哉社長が退任し、山梨広一社外取締役が社長に就任する。解任の背景には、創業家出身の取締役会議長である潮田洋一郎氏の意向があったとみられている。なおリクシルでは3年前にも「プロ経営者」の藤森義明前社長が解任されている。
「わが国の企業にはプロ経営者は合わない」のか?
このほか最近ではライザップグループでの取締役の担当変更(前カルビー会長兼CEOの松本晃氏がCOOから構造改革担当へ)が話題になった。その他にも、ソフトバンク(後継者候補として招かれた副社長のニケシュ・アローラ氏が2016年に退任)、ファーストリテイリング(2002年、玉塚元一氏が社長に就任するも2005年に退任)などプロ経営者が解任されたケースは多い。
こうした解任劇を目にすると、「わが国の企業にはプロ経営者は合わない」といったネガティブな見方が出てくるかもしれない。しかし、短絡的にそうした結論に至るのは早計だ。プロ経営者の手法が当該企業になじむか否かは、ある程度時間をかけて判断する必要がある。
それよりも重要なポイントは、経済環境の変化に適応して行くためにしっかりした経営能力を持った人材を選ぶことだろう。それがプロ経営者だろうと社内のプロパーの人材であろうと、それが重要な判断基準とは限らない。