日本発「ゴマドレッシング」がヒット商品に
3番目がヤマモリタイランドの工場。2015年に操業開始している。それ以前は合弁で製造していた日本風味の醤油をヤマモリ単独で作る工場だ。年間1万キロリットルの生産キャパシティーを持っている。従業員は70人で、日本人は工場長の宮村かおり。なお、サイアムヤマモリ、ヤマモリタイランドの工場は同じ敷地内にある。
3つの現地法人に日本人駐在員は少ない。それは現地のタイ人にオペレーションをまかせているのと、日本人を何人も駐在させるとコストが上がるからだ。大きな投資をしているがランニングコストは抑制している。しっかりしているのである。
さて、サイアムヤマモリで作るタイカレーなどについて、社長の小川はこう言った。
「他にも調味料、ドレッシングやソースを作っていますが、タイとASEANマーケットへ向けたもの。タイカレーはほとんど日本向けです。調味料のうち、最近、タイの国内でヒットしているのはゴマドレッシングです。スーパーマーケットなどで飛ぶように売れています。タイは熱帯の国ですから食事は揚げ物が多かった。しかし、近年、健康志向になり、生のサラダを食べるようになって、ドレッシングが受け入れられるようになったのです」
名産品の鶏肉とじゃがいもにこだわる
「レトルト食品では釜めしの素なども作っているのですが、タイではなかなか広まりません。タイの食事は基本的に白いご飯におかず2、3品をトッピングして食べるというスタイルです。日本の釜めし、炊き込みご飯は食卓に入っていかないようです」
工場長の林はヤマモリ製タイカレーの特徴は「生ハーブを使っていることと具材の大きさです」と会長の三林が言ったことと同じ口調で語った。
「レトルト食品としては大きな具材を贅沢に使用しています。鶏肉とじゃがいもは特に大きなものを使っています。なんといっても鶏肉はタイの特産品です。日本よりもリーズナブルな価格で質のいいものが手に入ります。
また、じゃがいもがおいしいと言ってくださるお客さまがいらっしゃいます。これは、タイの『スプンタ』という品種。スプンタは栽培時、暑さに強く、調理する場合、煮崩れしづらいという特徴を持っています。甘くておいしいじゃがいもです。スプンタを食べようと思ったら、うちのタイカレーを食べていただくしかないと思います。
辛さについては特に日本人向けにしているわけではありません。タイで食べられているグリーンカレー、イエローカレーとほぼ同じ辛さです」