現在、東京都をはじめいくつかの自治体が省エネ家電への買い替えに補助を出す制度を設けている。トータルのコスパを考えるなら、受けられる補助を見逃さずに新しい製品に買い替えたほうがいいだろう。

電気代が出たついでに付け加えると、住まい選びにもコスパ意識は大事になる。たとえば賃貸の場合、家賃の安さばかりに目が行き、断熱性が劣るような古い物件を選んでしまうと、冷・暖房費が余計にかかることになりかねない。日当たり良好のイメージがあった「南向き」という条件も、最近それほど重視されないとも聞く。

日差しのせいで室温が上がりやすく、夏は冷房代がかさむのも理由の一つだろう。酷暑続きの日本では、光熱費をいかに抑えるかがコスパのいい家選びのポイントになっていきそうだ。

節約好きが誤解している「割安品」の落とし穴

「割安」を高コスパの例に上げる人もいる。食費の高騰に悩む人が、節約目的で「大量パック」を買うケースがある。今や食品だけではなく、洗剤など日用品でも、割安をうたった「増量パック」が増えている。

確かに、グラム当たりで計算すれば、安くなる。これは正解だろうか? 残念ながら、大量・割安買いには3つの落とし穴がある。

1つ目は、大量パックは一度に払う金額が大きくなることだ。多くの家庭では、月の食費予算を決めているものだ。しかし、割安だからと数千円も一度に使ってしまうと、いきなり予算を食ってしまうことになる。オトクに買ったつもりが、月末に使えるお金が残っていないことにもなりかねない。

2つ目は、手元にストックがあると節約しようという意識が薄まることだ。ティッシュでも、残りが少ないと思えば大事に使うが、在庫がふんだんにあると思えばじゃんじゃん使ってしまう。せっかく安く買っても消費するスピードが早まっては節約の意味がない。

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スーパーより、コンビニのほうが安く済むことも…

3つ目は、大量パックが収納スペースを塞ぐことだ。食品だと冷蔵庫を占領し、洗剤はストック棚をいっぱいにしてしまう。収納スペースの見通しが悪いと何が残っているかわかりにくく、ダブル買いの元になる。

さらに、食品の場合は小分けして冷凍するなど適正な下処理をしないと、使い切れないうちに消費期限が切れ、処分するはめになることも。「割安」には落とし穴がいっぱいなのだ。

そもそも、なぜ店側が大量パックを「おトクですよ」と打ち出すのか。昨今では物価高ゆえに、消費者が一回の買い物で使う金額を抑える傾向があるという。分量に応じて売値が高くなる大量・増量パックは、お客の支払金額を増やせるありがたい存在なのだ。オトクさを打ち出せば財布のひもが緩むからだ。