ライオンのような勇猛さとキツネのような狡猾さ

もうひとつ例を見てみましょう。たとえば16世紀ルネサンス時代から近代の政治思想や国家論にまで大きな影響を与え、今でもその思想の人気が高いマキャベリ。著書『君主論』の中で著した、「君主はライオンのような勇猛さとキツネのような狡猾さが必要である」という名言で有名です。これは、長い文章をひと言にまとめたもので、本来そのままの言葉があるわけではありません。

『君主論』に描かれた本来の話の流れを簡単にまとめたストーリーとして紹介してみると、よりおもしろ味が増しそうです。あるいは、政治思想家で作家のマキャベリ自体がどんな人だったかをストーリー仕立てにしてみるのもいいかと思います。

名言主が偉人や著名人、何かを成し遂げたような特徴的な人のときには、その人生や言葉の背景の話はとても興味深く、さらに言葉に重みが加わります。

今度は、人の印象に残る“絵”として、相手に伝える方法をみていきます。

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「東京ドーム3つ分の広さです」

以前のトランプ氏の政策に「Build the Wall」(壁を建てろ)では、「外国からの移民を入れさせないようにいしよう!」よりも、クリアに侵入を防ぐ絵が浮かびます。

大きくはだかる壁は、人をアメリカに寄せ付けないイメージに十分です。高い壁はどのくらいの高さかわからなくても、侵入できないくらいの国防の壁。しっかり国民を守るかの印象を抱けそうです。

さて、大きさのイメージといえば、日本人はよく、広さやサイズ感をわかってもらうために「東京ドーム3つ分の広さです」のように伝えます。

実際には東京ドームのサイズを知らないし、行ったこともなく、「東京ドームの広さなんてよくわからない」というのが本音かもしれません。それでも、なんとなくの大きさが思い浮かび「そんなに広いのか」という印象を受けることでしょう。野球やコンサートで観客いっぱいの様子を目にしているわけですから。