ただし冷房能力を高めにしておいた方がいい場合も

そもそも電力は「冷やす」より「温める」ときの方がかかるもの。暖房は電力だけでなく、ガスや灯油などを使う家庭も多いので分散されますが、光熱費全体では夏より冬の方が多くかかりますよね。10年ぐらい前までは、暖房対冷房で比較すると「10対1」と言われてきました。それが温暖化の影響などで冷房を使う比率が上がり、現在は「7対1」ぐらいになってきています。

冷房の重要性が増している。全体的にそういう傾向にありますし、個別のケースとしては、屋根に断熱処理をしていない古い一戸建て、マンションの最上階など、照りつける日差しの暑さをもろに受けてしまう住居は、エアコンも畳数どおりのものを購入し、冷房が確実に効くようにしておいたほうがよいでしょう。

特にマンションの最上階ほど、コスパが悪い部屋はありません。マンション販売時は、眺めが良く、ルーフバルコニーなどの広いスペースもあるからと、一番高い価格になっていますが、実は最上階ゆえに、その下の部屋のように屋根からの幅射熱を断絶できませんし、コンクリートは蓄熱効果が高い。夏場には屋根の表面温度が50度を超え、それを蓄熱した厚さ15cm以上の屋根のコンクリートは、なかなか温度が下がりません。夜になっても暑いまま……。

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マンション最上階は光熱費がかかるのでコスパが悪すぎる

そんな最上階の暑さ対策をどうするかというと、なかなか難しい。直接日光が入る窓の遮熱をするしかありません。マンションの規定で許可されている範囲で窓の外に日よけ(すだれやタープ)をつけるだけでも、冷房の費用はかなり違ってきます。

戸建て住宅なら最上階の天井、もしくは屋根の断熱を強化すると、だいぶ違う。もちろん、プロに頼まないと難しいですが、屋根の下に発泡ウレタンの断熱材を入れるだけなら30万円ぐらいで可能です。それをやると、ほとんどの人が「なんでもっと早くやらなかったんだろう」と思うぐらい、室内の温度が変わります。

そんなふうに、エアコンの冷房に関しては、ケースバイケース。その住居が日射遮蔽できているか、天井に断熱材が入っているか、外壁は何色かということで大きく変わってくるので、どれぐらいのスペックが必要かは、一概には分かりにくいのです。

ひとつの参考として、エアコン購入前に電力中央研究所が公開しているエアコン選定支援ツール「ASST」で、自分の住む地域や住居の建築年数を入力し、調べてみるという方法もあります。