口座は1人1つまでとは決まっていない。コロナ禍を含めた4年間で8000万円超の資産増を達成した兼業投資家なのなの氏は、3つの証券口座を巧みに使い分けることで自らにとって最適な投資手法を発見し、1.7億円の資産を築いた。年間配当金にいたっては550万円にのぼるという。それでも、「FIRE」はせずに会社勤めを続けているなのなの氏に、兼業投資家であるメリットと、「高配当+中小型株」の両輪で稼ぐアドバイスを聞いた。

業界トップの任天堂よりセガの株価が高い不思議

株式投資を行っていると、数年に一度、かなりの高確率で大暴落に遭遇します。現在(2024年8月)のように日経平均株価が全体的に大きく下がったときは、むしろ積極的に買うチャンス。「ショック安こそ最大の買い場」という相場の格言すらあるほどです。私は、コロナ禍を含めた4年間で8000万円ほど資産を増やしました。長い間投資を続けているからこそ、時機をとらえて上昇気流にうまく乗れたのだと思っています。

複数のモニタで株の取り引きをする人
写真=iStock.com/Nichapa Piyakuakul
※写真はイメージです

私の投資歴は今年で24年になります。きっかけは、中学生時代にセガの家庭用ゲーム機「メガドライブ」をもっていたことです。国内では任天堂のスーパーファミコンが主流なのに新聞の証券欄を見るとセガの株価が上がっていたことに興味をもちました。

メガドライブは海外での販売が好調で、個人的な印象と株価の動きが違うことに面白みを感じました。成行注文・指値注文などの基本的な株式用語は、「松本とおるの株式必勝学」というファミコンソフトで学びました。

初めて株を買ったのは大学1年生の00年。銘柄は「商船三井」でした。アルバイトで貯めた30万円を元手にマネー雑誌でお勧めされていたので購入しました。しかし、大学時代は投資手法が固まっていなかったこともあり、年成績で一度もプラスになりませんでした。何をやっているのかわからない怪しい銘柄に手を出して危うく上場廃止に巻き込まれそうになったり、空売りに挑戦してナンピン売りで損失が膨らんだり、割安と思って買った株がさらに割安に沈んでいったりと、投資の実績は惨憺たるものでした。