260万人のボランティアが「捜索活動」
それより前には、1984年に立ち上げられたSETIというプログラムがありました。SETIとはSearch for Extraterrestrial Intelligenceの頭文字で、1990年代初頭にその活動がピークを迎えました。電波望遠鏡で、自然には存在しない、宇宙から送られてきたであろう微弱な無線信号を捉えようという試みでした。
しかしアメリカ議会の反対にあい、NASAからの資金提供が急になくなるという事態になりました。そんな中、1999年にカリフォルニアのバークレーでSETI@homeという、ボランティアによる電波望遠鏡のデータ解析が始まりました。
もともとSETIは、地球外知的生命体から発信された電波を探し出そうとしていたわけですが、望遠鏡での観測結果は膨大です。そこで、SETI@homeはデータを小分けしてボランティアに配信し、パソコンのスクリーンセーバーとして、パソコンを使っていない時間に解析を進めてもらうことにしました。
SETI@homeの発足から数カ月で260万人のボランティアが世界中から集まりました。宇宙人からのシグナルを受け取るのは、自分のパソコンかもしれないと、各国から参加者が集まったわけです。
地球外生命がいるかもしれない惑星
数百万台のパソコンの処理能力を使い、毎秒およそ25兆回の計算ができるのですから、結果として巨大な仮想コンピュータができあがっていたと言えます。2020年の3月末に終了するまで、20年ほどデータの解析が続いたのですが、地球外生命の発見には至りませんでした。
2024年3月に英国ケンブリッジ大学から、地球外生命体の可能性を示唆するデータが発表されました。半径が地球の2倍ある、73光年も離れたところにある系外惑星に、蒸気、メタン、二酸化炭素を大気に含んでいるものがあるというデータが出たのです。
表面の温度が高ければ、水ではなく蒸気としてしか存在しないのではないか、という指摘もなされてはいます。もちろん、そのような惑星に生命が存在できるかどうかはまた別問題でもあります。でも、水がある惑星には地球外生命がいるかもしれないという、いわゆる宇宙人発見への期待が大きくなっていくのです。