はやぶさ2の「新たな旅」がスタート
プラネタリー・ディフェンスは、サンプルリターンを成し遂げたJAXAのはやぶさ2とNASAのオサイリス・レックスが臨む、次のミッションの目的としても掲げられています。
はやぶさ2は、サンプルが入ったカプセルを地球に届けた後、探査機の状態が良好であると判断され、2つの小惑星を目指し、新たな旅をスタートさせました。「拡張ミッション」とされる新たなミッションの愛称は、「はやぶさ2#(シャープ/SHARP:Small Hazardous Asteroid Reconnaissance Probe)」で、別の小惑星を探索することを目的の一つにしています。
どんな小惑星が選ばれたのでしょう。地球に衝突すると大きな被害を引き起こす可能性のある数十メートル級の小惑星です。万が一、そのようなサイズの小惑星が地球に飛んできた時に備えて、似た性質を持つ小惑星を探査し、科学的知見を広げておくことにしたのです。
2029年に接近してくる小惑星も調査へ
オサイリス・レックスも、小惑星べヌーからのサンプルを地球に届けた後、探査機に余力があると判断され、次なるミッションとしてオサイリス・エイペックス(OSIRIS-APEX)が発表されました。小惑星アポフィスの探査をします。
この小惑星は、2029年に地球に接近すると予測されています。地球に衝突はしないものの、この小惑星をターゲットにすることで、プラネタリー・ディフェンスの知見を広げる好機と捉えたのです。
地球に近づくアポフィスは、地球の重力圏に入り、スウィング・バイのように、地球の近くを通ることで、その方向が変わる見込みです。アポフィスの上空を周回しながら、その時に起こる変化を観測し、表面の砂や小石を調べる計画です。
今後、地球にダメージを与えかねない小惑星が接近してきたらどうするのか。プラネタリー・ディフェンスの方策を練るための科学的な調査が始まっています。