母を亡くした直後の母の日の試合前に選手に伝えた言葉
ただ、チームメンバーの年齢構成のボリュームゾーンが変われば、言葉選びが変わる可能性もある。ベテラン選手が多いチーム、若い選手しかいないチームでは、チョイスする言葉は変わってくる。
若い選手が中心のチームでは、激しい言葉を使ってもいい。しかし、ベテランが中心のチームは、プライドも実績もあるので、きつい言葉を使うとへそを曲げてしまう。そうした配慮は必要だ。
選手に伝える言葉は、同時にコーチにも伝えているつもりだ。直接の内容は選手に向けて言っているが、それを聞いたコーチは、選手のために自分はどうすればいいかを考えてほしい。私の意図が伝わるまで、何度でも繰り返し伝えていこうと思っている。
ただ、私の言葉があまりにも「昭和っぽい」ので、彼らに響いているかどうかはわからない。
それでも、何か感じるものがあると思っている。みんなが同じ考えになってほしいわけではない。それぞれの感じ方で吸収してほしい。
5月14日の母の日には、試合前に選手たちを集めて、こんな話をした。
「今日は皆さんの一番のファンであり、誰よりも応援してくれているお母さんのためにプレーをしてください。いつもより、ほんのちょっとでいいので、お母さんの事を思ってグラウンドにいってください」
実はこの少し前に、私は母を亡くしていた。5月12日に和歌山で行われた告別式は、千葉から北海道への移動休日だったため、あえてチームには知らせることはせず、そのままチームに合流した。グラウンドでもいつもどおり振る舞ったので、選手やコーチたちに気づかれることはなかったと思う。
親孝行は、できるときにしないとできなくなる、というのは本当だった。選手たちも、母の日をきっかけに向き合ってほしいと思って伝えた。
野球の話題だけでなく、人生の先輩としてのメッセージを伝えることで、選手の心に火をつけていきたいと思っている。