「専門医」「留学経験」はほぼ無意味

「過去」の次は「現在」です。その医師が持っている「資格」についても触れておきましょう。

実は、「専門医」という資格は、はっきり言って全然大したことはありません。「内科専門医」「小児科専門医」、そういった資格は、その科目において最低限の知識があるということにすぎないのです。一人前というレベルとはほど遠いと思って間違いありません。

「海外留学経験」はどうでしょう。なんだか留学と聞くと偉そうな感じがしますよね。しかし、これも医者の実力とほとんど無関係です。海外まで出かけて行って初めて学ぶ医療技術など大してありません。そもそも日本の医師が海外に行っても、当地の医師免許証を取得していないことが普通なので、医療行為はできません。できるのは見学だけです。海外留学で学ぶことのほとんどが、地道な研究に関することです。

最後に「医学博士」を取得しているか。これは一番臨床の腕と関係なさそうですが、実はそうではありません。博士号を取るためには大学院に進学してサイエンスを学ぶ必要があります。4年間しっかりサイエンスをやると、科学的思考が身につくのです。

臨床は、過去の経験から答えを導き出すことが多い一方で、診たこともないケースに遭遇することもあります。そういうときに、科学を学んだ医師は解決能力が高いと言えます。ただし、医師の多くが博士号を持っているので希少価値はありません。

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サイトの更新すら怠る医師は患者にもきっと不誠実

最後に「未来」を見ます。そのクリニックの理念は何でしょうか? どういう医療を行なおうとしているでしょうか?

ホームページに書かれていることが、クリニックのホスピタリティーや、検査のための医療機器の紹介だけであったら、ちょっと残念です。そういうことより、クリニックの院長先生がどういう志を持って医療を行なっていこうと考えているのか、具体的に述べていたら、そしてその考え方にあなたが賛同できれば、あなたはきっとそのクリニックに行くでしょう。そういうクリニックを選んでください。

ホームページには、よく「お知らせ」として臨時休診のことなどが書かれていますが、そういう情報がかなり古いまま全然更新されていないことがあります。そういうクリニックも私はNGと考えます。真剣に患者さんとコミュニケーションを取ろうとしていないからです。ホームページの更新なんて、診療が終わったあとに、5分あればできます。そうした労を惜しむのは、患者さんに対して不誠実だと思うのです。