「単刀直入な答え」と「具体例」で返す

ステップ1は「質問に答える」です。

質問に対する直接的な答えを、なるべく明確かつ簡潔に提供します。前置きや細かい背景情報は不要で、単刀直入に答えを出します。

時間を稼いだり、焦点をずらしたりすると、何かをごまかしているように受け取られかねず、信用を失うおそれがあります。

発言の例

採用選考の一環として課されたプレゼンを終えた後、企業側から実務経験がどれだけあるかと問われたら――
「私はこの分野で15年以上の経験があります」

大勢が集まる社内ミーティングで進捗状況を報告した時に、役員からスケジュールの遅れの理由を質問されたら――
「サプライチェーンの問題と物流の遅延に足を引っ張られています」

ステップ2は、「具体例を挙げる」です。

答えを裏付けるのに格好の例を1つ思い浮かべます。ささいな内容を盛り込みすぎないようにしましょう。

若干の説明は役に立ちますが、多すぎると聞き手が飽きて気をそらし、耳を傾けなくなります。いくらかの詳細を加えつつも、せいぜい2つか3つの文にとどめるのが理想的です。

発言の例

「これまでにA社、B社、C社の3社を経験し、新規プロジェクトのスコープ設定、部署の垣根を越えたチームワークの促進、役員への成果報告を担ってきました」

「一例として、製品の基盤となる材料が、関税の問題で港湾に10日長く留め置かれました」

写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

答えた内容の「価値」を理解してもらう

ステップ3は、「価値を説明する」です。

私たちはつい、自分の答えの意味や重要性をわざわざ説明しなくてもわかってもらえると思ってしまいます。残念ながら、そうとは限りません。こちらの回答の価値を理解してもらい、高い評価を得られるよう、しっかりと口に出して意義を伝える必要があります。

発言の例

「そのため、迅速に課題を見つけ出し、解決策を提案する能力に長けています」

「すでにサプライヤーの追加に向けた契約を進めており、今後の遅延を減らすために

代替的な輸送手段を検討しています」

1つ目の例と違い、2つ目の例はネガティブな事例を扱っています。こうしたシチュエーションの場合、価値を説明するステップを使って、問題の解決に向けた取り組みを伝えます。

採用面接を受けている時に「あなたの短所を教えてください」と言われたら――

「メールやスラックのメッセージへの返信に気を取られ、業務がおろそかになってしまうことがあります(答え)。

具体的には、始業時刻の時点で受信ボックスに20件ほどメッセージがたまっていることが多く、仕事への取りかかりが遅れがちです(例)。

今では10分のタイマーをかけるようにしています。アラームが鳴ったら返信を書くのをやめ、他の業務に着手します(価値)」

「これか」の型を使うと、質問への答えが回りくどくならずに済みます。即座に答えを言い切ってから、聞き手にとって意味があり、覚えやすい説明だけを付け加えるからです。

「これか」の効果を最大限に発揮し、より良い受け答えを目指すために、次のことを試してみてください。