質問が無ければ「よく人から聞かれるのは…」と話すと良い
質疑応答に入ってすぐに最初の質問が出てくるとは限りません。無理もないでしょう。話し手と同じく、聴衆も、一方的な語りから対話へのモード切り替えに時間がかかります。
最初に声を上げるのが恥ずかしいと感じる人もいますし、聴衆の人数が多ければなおさらです。質問をしたくても、一番乗りは避けたいと思っているかもしれません。
質問者が誰も出てこなければ、しばらく待ってみましょう。気の短い話し手だと、何も質問がないと結論付けて終わらせてしまいます。私にはそれがうまいやり方だとは思えません。質問したいと思っている誰かがいるに違いないからです。
その誰かとは、自分自身かもしれません。何秒か待ってみて(ゆっくりと5つ数えましょう)、誰も挙手しなかったら、私が命名した「後ろポケットの質問」を使ってみます。
このようなシチュエーションに備えて質問を一つ考えておき、比喩的な意味で「後ろポケットにしのばせておく」のです。自分が喜んで簡単に答えられる質問にしましょう。
「よく人から聞かれるのは」とか、「このテーマについて初めて知った時、私が理解に苦しんだのは」などと前置きし、話し始められるでしょう。
質問を一つ挙げて答えてみせるだけで場の緊張がほぐれ、他の人が次の質問をする確率が高まります。それでも質問が出てこなければ、質疑応答の時間を終えて構いません。
見事な質疑応答セッションだったとは言えないでしょうが、少なくとも一つの質問に答えたという成果が残ります。