大事なのは「どこまで子どもの気持ちに寄り添えるか」

ただ、勉強の中身については、それを専門に指導してくれる塾のカリキュラムに沿って進めていけば大丈夫です。それ以上に大事なのは、「正しい勉強のやり方」を身に付けさせることと、「親の適切なかかわり」をすること、この2点に尽きます。この2つはどちらも親御さんの言葉がけや問いかけがカギを握ります。特に子どもを気持ちよく勉強に向かわせるにはコツがあります。それを知っておくと、中学受験の勉強がうまく回っていくだけでなく、親子の関係がとても豊かで尊いものになっていきます。詳しくは本書の後の章でも触れていきますが、ポイントは「どこまで子どもの気持ちに寄り添えるか」です。

私たち大人は、つい自分の感覚や価値観で物事を捉えてしまいがちです。例えば「宿題はやるのが当たり前」「受験で合格を手に入れるためには、一生懸命に勉強するのが当たり前」といったように。でも、相手はまだ遊びたい盛りの小学生であることを忘れてはいけません。

自分の子どもの頃を思い出してみてほしい

振り返ってみてください。みなさんが小学生だった頃、毎日ちゃんと勉強をしていましたか? 「私は毎日していましたよ」と当然のような顔でおっしゃる親御さんがいますが、本当に一人でできましたか? その隣にはお父さんやお母さんが優しく見守ってくれていませんでしたか?

また、子どもの頃、どんなことを親に言われるとうれしかったですか? どんなことを言われると嫌な気分になりましたか? そうやって、自分の子どもの頃を思い出してみていただきたいのです。すると、どんな接し方をすれば子どもが気持ちよく勉強に向かえるかが少しずつ理解できるようになってきます。

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結局のところ、中学受験の成功は、お子さんが「勉強は楽しい!」と思えるかどうかにかかってくるのです。大人でもそうですが、楽しいと思うことは、どんどんハマっていくし、うまくいかないことがあっても、楽しいことなら「もうちょっと頑張ればなんとかなるかもしれない」と踏ん張りがききます。中学受験の勉強もそれと一緒。

「知らないことが分かるって楽しいな」「できなかった問題が解けるようになるって気持ちがいいな」と思うことができれば、子どもはどんどん勉強が好きになっていきます。そうすれば、自分から勉強するようになるのです。