民間投資の少ない日本が「終わった国」扱いされ始めた

それまでもベトナムは縫製業や靴製造などが有名であり、それらの輸出によって外貨を稼いでいた。だが、それらが稼ぐ外貨はそれほど多くなかった。ベトナムの経常収支は赤字傾向が続いていた。それはドン安を招くので、ベトナム政府はインフレ抑制の観点からその対応に苦慮していた。しかし、サムスンの工場ができると経常収支が黒字になり、政策の幅が広がった。その意味でベトナム政府は韓国に感謝している。

川島博之『日本人の知らないベトナムの真実』(扶桑社新書)

ベトナム人は韓国人を嫌い、日本人に好意を寄せている。そんなベトナム人だが、近年、投資額において韓国に遥かに及ばない日本を小馬鹿にする向きがある。「日本は終わった国だ」などと陰口を叩く。ある国から尊敬を受け続けるには、その国から経済面で感謝され続けなければならない。これは国際関係における永遠の真理である。親日国かどうかなど、あまり意味がない。

1人当たりのGDPが4000ドルを超えており、ベトナムはもはやJICAの時代ではない。日本の企業は「官」を頼りすぎる嫌いがある。JICAのプロジェクトについて行けば確実に儲かる。安心だ。そんな気持ちでベトナムに来ていたために、JICAの時代でなくなると投資も減ってしまった。

現在、ベトナムはJICAではなく民間の投資を待っている。そしてベトナムにおける日本のライバルは韓国である。この二つのことを忘れてはならない。

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