輝く思い出があれば、寝たきり人生の支えになる

でも、そのとき、「高いワインを買ってぜいたくをしなければよかった」などという後悔はまったくしませんでした。

「おいしいワインを飲む」という経験ができたことに満たされていましたし、このまま貧乏になったとしても、あのときの経験を糧にして生きていけるとさえ思ったのです。

和田秀樹『みんなボケるんだから恐れず軽やかに老いを味わい尽くす』(SBクリエイティブ)

幸い、コロナ禍が終わって経済が回復し、そのうえ、著書も売れたので、どうにか持ち直すことができましたが、その経験から、「奮発して楽しんだ思い出は、自分を支える一生の財産になる」と気づかされました。

実際、ホームに入っている高齢者たちを見ていても、「若い頃、こんなすごい経験をした」「あのときは大金すってすっからかんになったけど、あんなに愉快だったことはない」などと、楽しい思い出を語るときは生き生きとしています。

もし寝たきりになったとしても、そういう輝く思い出が、その後の人生を支えてくれると思います。これこそ、生きたお金の使い方ではないでしょうか。

結局のところ、人間、死ぬ間際まで残るのは「思い出」しかありません。

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