年金だけで暮らせなければどうするか
2024年は年金制度の検証の年。いわば、5年に1度の、“財政健康診断”の年です。2025年の年金法改正はいったいどうなるのか。
国民年金の保険料支払期間が60歳から65歳に引き上げられるのではないか。
年金受給開始がさらに後ろ倒しになって、70歳や75歳になるのではないか。
今まさに年金改正案としてさまざまな動きがありますが、はっきり言えるのは、前回も述べたように“改悪”の方向に向かっているということ。年金制度が崩壊することはないと思いますが、これ以上よくなることはない。おそらく年金だけで暮らしていくことはますます困難になっていくでしょう。
年金だけで暮らせない。となると、どうすればいいか。
まずは、働くこと。元気なうちは、「仕事をする」ことが最優先の選択肢です。
働いて収入を得ることで、年金生活の補塡をする。しかし60歳以降、会社に再雇用される場合は注意が必要です。毎月の賃金と老齢厚生年金月額の合計が50万円を超えると、「在職老齢年金」の仕組みが適用され超えた分の半分がカットされるからです。
起業して企業共済制度を受ける選択
50万円の壁を気にせず、思いきり働きたいという人は、個人事業主になるか、ミニ法人をつくって経営者になるかして、所属している会社と業務提携を結ぶとよいでしょう。そうすれば、自分の裁量で給料を決められますし、年金カットもありません。
個人事業主やミニ法人の経営者として独立すると、給料以外にもメリットがあります。それは、経費や税額控除を増やせて、節税できることです。
税額控除におすすめなのが、「小規模企業共済」です。
小規模企業共済とは、個人事業主やミニ法人の経営者を対象にした積み立て型の退職金制度。月々の掛け金は1000円~7万円まで500円単位で設定できます。満期や満額はなく、退職や廃業時に受け取れますが、退職金になるため、税金がかかります。
とはいえ、確定給付に近い制度なので、将来のリターンがよく、掛け金が全額控除されるのも大きな魅力です。また低金利で、掛け金の範囲内でお金を借りられます。
さらに節税効果を高めるなら「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」に加入するのもよいでしょう。
この制度は、取引先事業者が倒産した際の連鎖倒産を防ぐための保険。掛金は月額5000円~20万円まで自由に選べて、個人事業主なら必要経費、ミニ法人は損金に算入できる。つまり税法上、経費として計上できるのです。
また無担保・無保証で、掛金の最大10倍(8000万円)まで借り入れ可能。解約したときは、所定の解約手当金が受け取れます。