各社それぞれのやり方で「紅茶」で利益を上げる
各ティーチェーンはどのように利益を挙げているのか。例えば、スタバ。
スターバックス コーヒージャパン商品本部本部長の加藤桜子さんは、「ここ数年でティー部門に力を入れている」と述べている(出典「スタバが「紅茶特化店」を増やす理由。タリーズも全国30店展開」https://www.businessinsider.jp/post-286249))。興味深いのは、その拡大のさせ方だ。既存のスタバ店舗の近くに、あえてティー専門店を配置することで、相乗効果でその双方の店舗の売り上げが上がるのだという。
気分によって、コーヒーを飲みたい日と紅茶を飲みたい日は分かれる。スタバしかなければ紅茶を飲みたい層は取りこぼしてしまうが、紅茶専門店が近くにあれば、そちらに入ってもらえる、というわけだ。
スタバは国内店舗数でも群を抜いており、圧倒的な知名度を持つ。そのブランド名に惹かれ「スタバのティー」が近くにあれば行く、という層も一定数いるのだろう。そのような既存のコーヒー主力の業態とのシナジーを見込んで増収を挙げているのだ。
これに対して、タリーズコーヒーが展開する「&TEA」は、フレーバーの豊富さだけでなく客単価を上げることで利益を上げている。「&TEA」の客単価は、通常のタリーズコーヒーの客単価に比べると1〜2割ほど高いという。
実際、商品を見てみるとデパ地下の本格スイーツのような600円以上するケーキなども売っており、こうした商品とのセットで客単価が上がっているのだろう。だが、値段が高いだけでは成長は持続しない。そもそも、タリーズコーヒーの運営元は伊藤園であり、「お茶」の会社である。その祖業ともいえる「お茶」の品質を活かし、高品質・高単価というビジネスモデルを確立させているのが、「&TEA」の戦略だ。
また、前者2つとまた異なる戦略を取るのが、タピオカで一躍有名になった「ゴンチャ」。現社長の角田淳さんはティーチェーンとしてゴンチャを拡大させる方向に舵を切っている。
タピオカのブランドイメージだけにこだわらず、ティーを、コミュニケーションを促進するものとして捉えて「meからweの場所を目指す」といった世界観の構築を経営方針にしている(「タピオカブーム終焉なのに絶好調の秘訣」https://newspicks.com/trends/1710/)。
ティーチェーンは、それぞれ、異なるビジネスモデルを模索しながら、これまでは利幅が取れなかったティーをうまくチェーンオペレーションに馴染ませている。