しかし学校・園に責任を追及できない場合もある。そんなときは親が治療費や入院費などの実費に加えて、慰謝料を払うことになります。これらの損害賠償については、交通事故の損害賠償の分野でケガの重さや治療内容・期間による基準が確立しているので、これにならいます。

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「年齢・場所・学校の種別」によって責任対象が異なる

治療費や入通院に伴う慰謝料は大した金額ではありません。問題は障害が残ったときの「将来の逸失利益」です。つまり被害者側は、「障害がなければふつうに働いて得られたであろう一生分の賃金」を、加害者側に対して一括請求することができる。これは当然のことながら、何千万円という金額になります。親自身が賠償責任保険や特約に加入していなければ悲惨です。

子供同士がふざけたりケンカをしたりして、友達にケガをさせてしまうのは決して珍しいことではありません。鉛筆を振り回していたら目に当たって失明させたというケースもある。

私にも6歳の息子がいますが、集団生活を送っていればトラブルは当たり前。賠償責任保険に加入しておくなどのリスク回避は、いわば「生活の知恵」です。他人にケガをさせる恐れがあるような活発な子であれば、なおさら学校とよく連絡をとりあい、そういうことが起きないよう、日ごろから注意しておくことは欠かせないでしょう。

※すべて雑誌掲載当時

ヒューマンネットワーク 中村総合法律事務所 
好川久治 

1969年生まれ。東京大学法学部卒。大手保険会社を経て現職。交通事故、消費者被害、労働事件等を取り扱う。
(構成=長山清子 撮影=若杉憲司)
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