コミュニティ・カレッジの発見

三瓶雄河さん(日本大学東北高2年生)。

三瓶雄河(さんぺい・ゆうが)さんは、渡辺さんの後輩、日本大学東北高等学校の2年生。将来、何屋になりたいですか?

「海外で働きたいと思っています。教育とか、国連とか、営利を求めない団体とかで働いてみたいです。中学生のときは先生になりたいと思ってたんですけど、だんだんといろんな経験をしていって、最近そういう考え方になったんです。だから、かえってわからなくなったというか(笑)」

海外で働きたいと考えるようになったきっかけは?

「小3から小6まで、父の仕事の関係で台湾に行っていたんです。向こうの日本人学校に通っていました。そういう経験とか、今回『TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム』でアメリカに行った経験とかが、そうさせてるのかなって」

「こういう仕事はしたくない」というのはありますか。

「漠然となんですけど、そういう仕事で働いてる方にはすごい失礼なんですけど……その地域でずっと働いて一生を終わらせるような、地域にずっと密着してるような仕事はしたくないなっていうのはあります」

ということは、三瓶さんが仕事をしているときは福島県境ではなく、国境も越えているわけですね。

「そうですね。どこにいるかわからない。不安? ないです。どこにいるかわからないのは面白さです。それしかないです」

高校を卒業して、いきなり海外に行くという発想はありますか。

「はい。今回のアメリカで覚えました。『TOMODACHI〜』で3週間向こうに行ってみて、『なんか大丈夫だな』みたいな自信が。行くまでまったく知らなかったコミュニティ・カレッジというものを知ることができたってことは、大きいですね」

コミュニティ・カレッジとは、第二次世界大戦後、帰還兵の社会復帰を主目的に合州国で普及した公立2年制大学のことだ。公立ゆえに学費が安い。総合大学3年次編入コースを持つカレッジで留学生活を始め、英語環境に慣れ、3年次に総合大学にチャレンジするという留学コースは珍しくない。300人の高校生を合州国に送った孫正義も、ホーリー・ネームズ・カレッジ(現ホーリー・ネームズ・ユニバーシティ。但しこれは私学)に一旦入学し、2年後にカリフォルニア大学バークレー校3年に編入入学している。

海外、どこへ行ってみたいですか?

「サッカーが好きなんで、純粋にサッカー観たいっていうことなら、ヨーロッパに行きたい。あと、暑いところに行きたいです。究極、何か職業に就かなくてもいいのかな、みたいな。なんか大企業に就職することイコール幸せじゃなくなってるような気がして。なんか最近は気持ちがそんなかんじだったんですよ。だから、ことばは悪いですけど、その場その場で考えるのかなと。たぶんずっと考え続けちゃうのかなと」

三瓶さんの語る将来の話は、漠然としていて、抽象的だと受け取られるかもしれない。だが高校2年生の秋の時点では、明確に進路を決めている高校生のほうが少なだろう。多賀城編で浮かび上がった”「ふつうの高校生」が進路を考える難しさ”を思い出す。こう聞いてみよう。三瓶さん、「将来、何屋になりたいか」は、いつまでに具体的に決めなければいけないと思いますか。

(明日に続く)

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