「ミカンの果皮入りヨーグルト」で花粉症が改善
2017年、温州ミカンの果皮と花粉症に関する、ヒトでの比較実験の結果が発表された。
実験ではまずスギ花粉症の日本人31名(平均32歳)に、花粉を点眼し結膜炎を起こさせた。その後3週間、毎日150gのヨーグルトまたは温州ミカンの果皮入りヨーグルトのいずれかを食べ続けてもらった。さらに次の3週間は、それぞれもう一方のヨーグルトを食べ続けてもらった。
すると、ヨーグルトだけよりもミカンの果皮入りヨーグルトのほうを食べた方が、目の赤み・結膜浮腫・かゆみが有意に改善された。有効成分は、一部の柑橘類の果皮に多く含まれるポリフェノールの一種、ノビレチンと考えられている。
ノビレチンは、同じ重さあたりでは柑橘に多く、中でもポンカン、柑子、シークワーサー、紀州ミカン(小ミカン)などの果皮に多い。
「ミカンの食べ過ぎ」で手のひらが黄色くなる理由
カロテノイドの含有量が多い、ミカン、カボチャ、トマト、ニンジンなどを長期間多く摂ると、手のひらや足の裏などが黄色くなる。これは、カロテノイドが表皮や皮下脂肪などに貯留して起きる「柑皮症」(カロテン症)。
顔まで黄色くなると、しばしば「黄疸」(成人黄疸)と間違われるが、単にカロテノイドの摂りすぎによるものであれば健康上は問題がない。
ただし、柑皮症は甲状腺機能低下症・糖尿病・肝疾患・腎疾患などによる、カロテノイドの代謝不良でも起こる可能性がある。
黄疸とは、肝疾患や胆管閉塞や溶血などにより、血液由来のビリルビンが血中に増え、全身の皮膚が黄色くなる状態のこと。黄疸では白眼も黄色くなるが、柑皮症では白眼は黄色くならないので、両者を区別できるとされる。
「焼きミカン」にすることも可能
・味の薄いミカンをおいしく食べる方法
①焼きミカン
皮ごとオーブントースターなどで焼く。味が濃くなるのでオススメ。
②冷凍ミカン
皮をむいて実だけラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍保存する。風呂上りや暑い日に食べるとおいしい。
③具材
カレーなどの濃い味つけ料理の具材として利用する。
④ミカン鍋
ミカン鍋は山口県周防大島町の名物料理で、栄養価の高い外皮ごと食べられる
〈引用参考文献〉
・日本食品標準成分表2020/文部科学省
・日本人の食事摂取基準2020年版/第一出版
・国民健康・栄養調査報告2019/厚生労働省Webサイト
・Osteoporos Int 2008 Feb;19(2):211-9.
・J Biomed Sci. 2012; 19(1): 36.
・PLoS One.2012;7(12):e52643.
・IOVS Vol.58, 2922-2929 (2017)
・SAGE Journal Vol.20 (1),1981
・Cutis. 1988 Feb;41(2):100-2. 柑皮症
・日本内科学会 50巻5号 414-419, 1961
・西日本皮膚科 Vol.79(1)38-40, 2017