「おなかが空いて眠れない」時はどうすべきか
アルツハイマー型認知症は、「第3の糖尿病」といわれることがあります(注)。これはアルツハイマー型認知症では発症する前から、脳の特定部位においてインスリン抵抗性が見られるからなのです。
(注)Monte, S. M. de la & Wands, J. R. Alzheimer’s Disease is Type 3 Diabetes――Evidence Reviewed. J. Diabetes Sci. Technol. 2, 1101–1113 (2008).
したがって、アルツハイマー型認知症を予防するためには、砂糖のような糖質を控えて血糖値をできるだけ急激に上げないようにしたり、血糖値を低く保つために空腹時間を長く確保したりすることが有効だといえるのです。
「寝る前に食べてはいけないことはよくわかりました。でも、おなかが空いていたら眠れないでしょう」
たしかに空腹になるとイライラして眠りを妨げられることがあります。
もしその日に晩ご飯をしっかり食べる時間がなかったならば、仕方ありません。必要な栄養を摂るためにも、あまり胃に負担にならない消化の良いものをよく噛んでゆっくり食べましょう。
しかし、今さっき、しっかり夕飯を食べたというのに、なぜか寝る時間になると空腹を感じているという場合、いったい体の中で何が起こっているのでしょうか。
甘いお菓子やジュースで空腹を紛らわせてはいけない
「おなかが空いた」という空腹感の主な原因は低血糖です。低血糖になると、細胞のエネルギーの元になるものが少ないので食べ物が欲しくなります。また、お酒を飲んだ人は、アルコールに食欲を亢進させる作用があるため、何か食べたくなるということもあります。
日頃から不安やイライラした気持ちを抱えている人は、ストレスの影響もあるかもしれません。ストレスがかかると「コルチゾール」などのホルモンが分泌され、それらの影響によってさらに何かを食べたくなります。
このようにして起こる空腹感を、糖をふんだんに使用した甘いお菓子やジュースで紛らわせていると、インスリン抵抗性が発生し、インスリンが分泌されても糖を細胞に取り込めずエネルギーに変えることができない状態になります。
こうなるといくら食べても脳はエネルギー不足のままで、「何か食べたい」と強く感じてしまうのです。