※本稿は、吉田英司『一生健康に働くための心とカラダの守り方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
仕事終わりに首や肩が重くなる
1日働いてふと気づいたら、こめかみや首や肩が重くなっていませんか? そして夕方になると、パソコンの画面を見ている時に、焦点が合わずに何度も瞬きを繰り返したり、目を閉じてみたりしていませんか?
オフィスワークに不可欠なパソコン作業ですが、その時の自分の姿を思い浮かべてみてください。猫背で肩は丸まり、腰も丸まっていて、首は下を向くために曲がっていませんか?
かつてホモ・サピエンスが狩猟採集を行っていた時代、人間の視覚は広範囲を見渡し、動くものを捉えるのに適応していました。遠くの獲物や天候の変化を察知し、周囲の環境を把握することが生存の鍵でした。
そのため、「遠くを見る」「動きを察知する」という視覚的負担はあったものの、近くの小さな文字を長時間凝視することはありませんでした。
しかし、現代ではスマートフォン、パソコン、書類の閲覧など、至近距離での作業が圧倒的に増えました。特に、長時間画面を見続けることで「ピントを合わせる筋肉(毛様体筋)」を酷使し、眼精疲労や視力低下を引き起こします。
パソコン作業を1日中していると眼精疲労にもなりますし、首・肩・腰が重く、痛くなる原因になります。また首肩の筋肉の強張りは、多くの人が困っている頭痛につながっています。
その解決策として「定期的な休憩を取りましょう」「目のストレッチをしましょう」と言われることも多いですが、人目のあるオフィスで働いているとなかなか実践できないことが多いのが現実だと思います。
仕事中の首への負担を軽減する
それでは、この問題を解決するためにはどのような行動が必要でしょうか。
それは、仕事中の姿勢を変えることです。
お勧めなのが、以下のような工夫です。
・一般的なデスクとスタンディングデスクを使い分ける(最近では可動式デスクもあります)
・デュアルモニターにして、やや下を向く姿勢と目の高さで見る姿勢を交互に行う
といった方法です。
この方法を取り入れることで、首への負担が大きく減少します。
作業の切り替え時に1分程度の時間がかかるため、自然と目を休めることができるメリットもあります。さらに、そのタイミングで無意識に首をストレッチする人も多いので、負担軽減につながるでしょう。
また、モニターや姿勢を変える時に、「骨盤を立てる座り方に直す」「肩を丸めず胸を張る」ことも自然に行っているはずです。
このように、首・肩・腰や目の負担を軽減するための工夫をすることで、1日の仕事が終わった時の目の疲労感が違ってくるはずです。