もちろんこれは医療の進歩によるところも大きいのですが、一種の流行と捉えることもできるでしょう。さらに専門医がよいか、総合的に診られる医者がよいかなどの評判にも流行があります。

さて、この流行ですが、どのようにしてできるのでしょうか。

個人個人の趣向が同じ方向を向くことで生じると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

最初は小さな波なのです。それを見たり感じたりした周囲の人たちが「これが今年のトレンドなんだ」とそれに合わせていくなかで流行はできあがっていきます。たとえば複数のファッション誌がいっせいに「今年の冬コーデはこれで決まり!」といった特集を組むと、それに倣っていく感じです。

(自分だけ違ったことをしていたらカッコ悪いから)そんな気持ちを持つ人が多いように思います。逆から見れば、だから流行が生まれるのでしょう。

「本当にやりたいことは自分の心の声に従いなさい」

流行を追うことを楽しめて、有意義ならそれはいいと思います。でも、流行を追い続けていてはいけません。なぜならば、周囲に流され続けていると、独自の思いや考えを明確にできなくなってしまうからです。

なぜこれが流行っているのかを考え、その本質を見抜くことは大切ですが、追う必要はないのです。人の意見を聞かなくてもいいとは思いません。でも、周囲の声に過敏になりすぎてもいけないでしょう。

映画監督の小津安二郎さんは、かつて「なんでもないことは流行に従う。重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う」と『キネマ旬報』の取材で語られていました。

これは、「本当にやりたいことは自分の心の声に従いなさい」と言い換えることができるのかもしれません。自身の軸をしっかりと持ち、自分を信じ邁進したときに初めて、動じない心を手に入れることができるのです。

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心得 心を丸裸にすれば不安は消える

みなさんはドラマや映画での場面以外に、実際の手術の現場を見たことがありますか? おそらく、医療関係者でもない限り、ほとんどの人が「ない」と答えることでしょう。

「手術室は閉ざされたもの」というのが、かつては常識でした。でもご家族は、心配で「手術の様子を見ていたい」と思われるのではないでしょうか。密室のなかで何が行われているかわからないのでは、不安が募るのも当然です。

手術室をガラス張りにした理由

見てもらえばよいのではないか、と私は思いました。

「手術は医療側の秘事であって、他者に見せるものではない」

そのあり方には、ある種の権威主義的意識を感じます。医師が自信を持って適切な手術をしているのであれば、ご家族に見ていただいてもなんの不都合もないはずでしょう。

そこで私は、「ニューハート・ワタナベ国際病院」の手術室をガラス張りにしました。希望されるご家族には手術の様子を見守ってもらっています。