スタッフがどのように関わり、手術がいかに進行しているかを実際に見て納得していただきたいからです。
これは私がタイの病院を視察した際に初めてガラス張りのオペ室を見て、「導入しよう」と思ったことがきっかけでした。私が知る限り、日本にはガラス張りでご家族に見てもらえる手術室は当院にしかありません。今後、開かれた手術室が全国に広がることを望んでいます。
もう少し言えば、手術は医師が一方的に行うものでもありません。手術は、医師と患者さんの共同作業です。患者さんと医師の信頼関係が築けてこそ、その後のみなさんの人生を有意義にする手術が行えます。絶対に病気を治す、手術を成功させるーー。そのために私は、つねに最善を尽くします。と同時に、患者さんにも強い気持ちを持っていてほしいと思っています。
さらには手術室や医療の現場を開かれたものにすることで、お互いの不安をなくし、物事が前向きに進むことを願っています。都合の悪いことは隠したくなるのが人情ですが、じつは隠さないことこそ、心の乱れをなくす第一歩なのです。
「ダメな病院」を見分けるためのポイント
「先生から見て、どういう病院がいい病院と言えるでしょうか?」
私がこれまで受けてきた取材のなかで、もっとも多い質問のひとつです。それだけ多くの方が、病院選びに悩んでいらっしゃるのでしょう。
私が考える「いい病院」にたどりつく方法は、次の4つです。
② 病院の名声ではなく命を預けるにふさわしい医者かどうかで考える
③ 医療と関係ないところで判断をしない
④ 他院へのセカンドオピニオンを快諾しているかを確認する
ひとつ目ですが、病院のホームページを見ていったときに、去年や一昨年の成績がきちっと載っていて、手術数も実績として載っているような病院でしたら、まずはひと安心でしょう。
ここで気をつけなければいけないのは症例数。年間の症例数が少ないために、過去数年間の合算で「何百件」と出している病院があります。
こういう掲載の仕方をしている病院は、避けたほうがいいでしょう。嘘はついていないでしょうが、数年分を合算することで、かさを増しているだけです。
「実績のかさ増し」には要注意
たとえば「手術実績100件以上」と書かれているものの、よく見たら小さく(過去5年)と書かれているケース。1年間あたりで割るとたった20件です。参考に、私の病院の2023年の年間心臓手術件数は、639件でした。
海外に目を移すと、心臓手術年間500件はスタンダードなライン。ですので、5年で100件がどれだけ少ないか、そこに自分の命を預けることがどんなに危ないことかがわかっていただけるかと思います。
あなたの命は、手術手技で決まります。“手術”は飲んで効く“薬”ではありません。名医は必ずいますから、必ず手術実績が掲載されている病院で、スーパードクターを選ぶようにしてください。