売上や利益よりも大切な「資金繰り」
私は大学卒業後、外資系の銀行に就職しました。
そこでは審査室に配属され、銀行がお金を貸している取引先の信用力(融資やその他の取引の決済がきちんとできるかどうか、貸し倒れが生じないかどうか)を調査する、アナリストという仕事に就きました。
あるとき、本店の研修担当者がやってきて、売上や利益も重要だけれど、本当に大切なことは今後の資金繰りの見極めであると教えてくれました。
資金繰りとはその会社のキャッシュ(現金)の出入りのことです。いつ「現金」が入り、いつ出ていくのか、現金の流れをしっかり把握することが大切です。
当時の日本の銀行は資金繰りの予測よりも、会社の規模や歴史、担保価値などを重視していました。しかしその人は、取引先の信用力を分析するには「資金繰り」、つまり正確な現金の流れを見るべきだという本質的なことを教えてくれたのです。
彼が繰り返し言った言葉を紹介します。
「現金は王であり、女王である」。資金の現状と、そして未来を把握すること。それが最も重要なのです。
まずは収支の把握から
この大切さは私たち個人にもあてはまります。
自分の資金の現状と今後の推移について把握することができたら、自身の信用力が見えてきます。安定的な基盤をつくるために必要な方法や効果的な戦略を考えることが大切です。
まずは、収支(フロー)を把握しましょう。そのためには、家計簿をつけるところから始めることが必要です。
家計簿をつけたことがない人も、苦手意識がある人もいると思います。しかし、そういう人も、家計簿が持つ大きな力を知ってほしいと思います。次の項目で説明します。