仕事中はマイナスの感情があっても、去る人を温かく送り出す
ジョージアには似たような会を設ける習慣はありませんが、誰かが去って行くことになっても、集団みんなで過ごす最後の会合や食事の機会を設けることはなく、非常にあっさりしています。日本で過ごした期間の長い私は、てっきりジョージアでも何かしてくれるものだと思い込んでいただけに、歓送迎会文化に慣れた身としては、なんだか寂しく感じました。
日本では「終わり良ければすべてよし」と言います。実際には日々の付き合い、仕事をするなかでは失敗して迷惑をかけてしまうこともあれば、意見が衝突することや「この人はあまり仕事ができないな」と感じることなど、マイナスの感情を抱くことも当然あります。それでも、どこかに誰かを送り出すときはお互いにいい気分で、その人のよいところを伝えて送り出すという暗黙の了解がある。
送別会の文化には日本の良いところが詰まっている
ある集団を離れて別の場所に移ること、環境が変化することは、たとえ本人が望んで選んだ道であったとしても「やっていけるかな」と不安なものです。また、「今まで身近な人たちに対して何か貢献できただろうか。自分がしてきたことはこれでよかったんだろうか」とか「悪いことしたな」などと、それまでの振る舞いを反省していたりもします。
そんなときに送別会で「あなたに感謝しているよ。これからも応援しているよ」と言ってもらえることは、本当にありがたいことです。今はお別れして離ればなれになったとしてもネットでつながり続けることができますが、昔は別れると遠いところに行ってなかなか顔を合わせることも難しかったわけですから、なおさら送別会はありがたいものだったことでしょう。