1000人が参加した支援者集会

「あべ令子さんは、経歴、識見ともに、わが党が自信を持って公認する女性候補です。現在、自民党の衆議院には女性議員が一人もいません。次回こそ、よろしくお願いします」

1992年11月2日、大阪城公園に隣接し、豊かな水と緑に囲まれたホテルニューオータニ大阪の2階、西日本最大級の大宴会場「鳳凰の間」では、高い天井できらめく豪壮なシャンデリアの下に大勢の人が詰めかけていた。

催されていたのは「あべ令子と21世紀に羽翔はばたく大阪の集い」で、会費2万円のこの集会には1000人が参加した。司会を務めたのは、「阿部令子ちゃんとは古い古い付き合い」という安西愛子自民党元参議院議員、講演には自民党税制調査会長の武藤嘉文かぶん衆議院議員(渡辺派)が立った。予定では、渡辺美智雄副首相兼外務大臣が講演するはずだったが、臨時国会中のためビデオで約5分の挨拶が会場に流された。

当時、政治評論家だった高市早苗(現・自民党衆議院議員)の挨拶に、阿部は意気軒昂にこう応えた。

「私もね、ミッチーさんのおめかけや言われましたし、(政界に)女性が出て行くのは大変なことなんです。誹謗ひぼう中傷があっても阿部令子は絶対やりますから」

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霊感商法にも関与したれっきとした信者

渡辺美智雄衆議院議員や自民党が把握していたかはさておき、阿部令子は統一教会のれっきとした信者なのだ。韓国統一教会の内部誌「史報」(1982年12月号)には、ソウルの蚕室チャムシル体育館で行なわれた国際合同結婚式の参加者6000組の名簿が載っている。ここに「阿部武│藪野令子」との記述がある。藪野は阿部の旧姓だ。

それだけではない。阿部がかつて霊感商法の霊能者役を演じ、高麗人参濃縮液と念珠を1000万円という法外な値段で売りつけていたことはほとんど報じられなかった。

「我々の言うことを聞く総理大臣をつくろう。そのために国会に入って勢力を広げる」

文鮮明はかねてより説教などでこう公言しており、14年ぶりの来日を果たした1992年には、兵庫県にある教団の宝塚修練所を訪れ、信者1000人を前に演説した。この1000人の中に阿部もいた。文鮮明は直々に「頑張れ」と激励していたのだ。