旧統一教会への「解散命令」決定の足音
旧統一教会への「解散命令」決定の足音がひたひたと近づいています。
なぜ、そう言えるのか。私自身が元信者として長く教団の悪質な霊感商法などの実態を見てきたことに加え、今回の解散命令請求の裁判にかかわる「当事者」だからです。
昨年10月、文部科学省が教団に対する解散命令を東京地方裁判所に請求しました。実際、解散命令がなされるかどうか。多くの人が注目していますが、その判断は司法に委ねられています。
文科省はこれまでに170人を超える私を含む元信者など被害者にヒアリングを行い、7回にわたる報告徴収・質問権を行使しました。教団の回答が十分な内容でなかったところもありましたが、元信者らの口で語られた教団の実態の陳述書や資料など5000点以上の証拠が裁判所に提出されています。
2023年10月12日、盛山正仁文科大臣が解散命令請求の会見を行った際にも「不法行為として旧統一教会に対する損害賠償請求を認容する民事判決は、文化庁において把握した限りでは32件であり、一審で請求が認容されるなどした被害者の総数は169人、認容等をされた総額は約22億円、1人当たりの平均金額は約1320万円におよびます」と述べており、このなかには、教団の使用者責任を認めた判決もあります。
文科省は、献金の獲得や物品販売の活動は財産利得の目的としたものとして「宗教法人の目的を著しく逸脱するもの」であり「献金勧誘行為などは、旧統一教会の業務ないし活動として行ったものであり、宗教法人世界平和統一家庭連合の行為と評価できるもの」としています。
旧統一教会は、昔から霊感商法や正体を隠した勧誘などは信者らが勝手にやったことで教団本部とは関係がないとしていますが、もはやその主張は通じなくなっています。
かつて「中の人」だった私も文化庁のヒアリングにて、教団内での実態について話しましたが、そうした全国の元信者らの証言が積み重なり、解散命令請求の要件とされている「悪質性」「組織性」が白日のもとにさらされて、司法の場において適正に判断されると信じています。